<コラム>西遊記屈指の官能的なシーンを再現!中華圏の盤糸洞を比較してみた!

関上武司    2018年11月15日(木) 0時0分

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中国の古典の『西遊記』で日本人が思い浮かべる有名なシーンといえば、孫悟空が火焔山で牛魔王と戦うお話ではないだろうか?筆者が中華圏の観光地で見た『西遊記』を再現したシーンで一番多いと感じたのは盤糸洞(ばんしどう)だろう。写真は筆者提供。

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中国の古典の『西遊記』で日本人が思い浮かべる有名なシーンといえば、孫悟空が火焔山で牛魔王と戦うお話ではないだろうか?筆者が中華圏の観光地で見た『西遊記』を再現したシーンで一番多いと感じたのは盤糸洞(ばんしどう)だろう。お話の中で三蔵法師が妖怪に捕まったり、孫悟空が他の神様に助けを求めたりするのは『西遊記』ではよくある展開だが、特筆事項としては猪八戒が7人の女妖怪(正体はクモの精)が水浴びをしている場面に遭遇する点だ。今回は中国、台湾、シンガポールの観光地で再現された盤糸洞について比較してみたい。

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中国の寧夏回族自治区銀川市にある寧夏鎮北堡西部影視城は夏休み期間中ともなると、観光客が大挙して押し寄せる撮影所だ。同影視城は城壁の遺跡を利用して映画セットを作り上げ、中国を代表する映画を数多く撮影していることで有名で、敷地内には盤糸洞があった。洞内はお化け屋敷に近いテイストだが、来場者はほとんど怖がっておらず、笑顔が絶えない。孫悟空や三蔵法師の姿が見られないのは残念だが、乳房を露わにした女妖怪のクオリティは非常に高い。ただ、クモの妖怪であることを強調した造形なので、絶対にお近づきにはなりたくない女性だ。

重慶市の美心洋人街という遊園地にはお化け屋敷として盤糸洞が営業していた。入口付近には僧侶がクモのような妖怪に捕食されているイラストが描かれ、『西遊記』の盤糸洞の回はクモやムカデの妖怪が登場することを踏まえて内部では昆虫系の妖怪が現れる。しかし妖怪のクオリティはかなり低くて学園祭の催し物よりもひどく、かえってB級好みの筆者が好む撮影対象である。重慶在住の方からの情報によると、美心洋人街は市中心部から100キロメートル以上離れた武隆という場所に引っ越したので、おそらく取り壊されたと推測される。とても残念だ。

台湾の彰化県にある南天宮は十八地獄という電動の立体地獄絵巻がB級スポットマニアのハートをわしづかみにしているのだが、館内の盤糸洞も見逃さないようにしたい。捕えられた三蔵法師は泣いているのだが、孫悟空の表情はどことなくユーモラスで、女妖怪は乳房を露出している。猪八戒が水浴びシーンののぞき見を原作通り再現しようとしているのだろうが、実際はのぞき見どころか至近距離でガン見だった。参拝客が近づくとセンサーが反応して動く点も個人的には高評価。

シンガポールのディープな観光地として知られるハウパーヴィラは中国の儒教・道教・仏教や神話、伝説に関連するカラフルな像を屋外に展示している。同園で再現された盤糸洞では2人の女妖怪が三蔵法師を捕まえようとしているが、三蔵法師は生命の危機…ではなくて貞操の危機を感じるのは筆者だけではないはずだ。猪八戒や沙悟浄は捕まっているのだが、孫悟空はなぜか別のストーリーの場面が再現され、牛魔王の息子の紅孩児(造形からするとナタ<托塔天王の3男>に見えるが、後ろの看板には孫悟空大戦紅孩児と表記されている)と戦っていた。シンガポールは湿度も高く、このような像を屋外に設置するには過酷な環境かもしれないが、定期的に像のメンテナンスが行われている模様。中国の古典の内容をある程度知っていると、中華圏の観光はより面白くなるのでお勧めしたい。

■筆者プロフィール:関上武司

1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。

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