<在日中国人のブログ>「日本旅行は立派なことだ」中国人観光客が好きな日本の風景

黄 文葦    2018年10月13日(土) 13時20分

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今後、中国人の日本旅行はどう変化するのか。単に爆買いの旅行ではなく、観光客が自分の目で日本を確かめ、それぞれに「心の中の日本」を感じ取ることだろう。写真は渋谷。

中国のオンライン旅行大手・携程旅行網(シートリップ)によると、10月の大型連休中の中国人の人気海外旅行先で、日本が1位となった。

中国人の人気海外旅行先で、日本がトップになるのは当然だと思っている。地理的に近く、交通アクセスも買い物も便利だからである。中国人の対日感情が政治関係に影響されていた時期もあったが、これからは年間1000万人以上の中国人観光客が日本へやってくる時代に突入すると予想されている。もう時代の流れに逆らえないだろう。そして、中国人の日本旅行はどう変化するのか。単に爆買いの旅行ではなく、観光客が自分の目で日本を確かめ、それぞれに「心の中の日本」を感じ取ることだろう。

数人の知り合いの中国人観光客が好きな日本の風景を教えてくれた。「好きな日本の風景は、交差点の信号が青になったら、人々が一斉に急いで横断歩道を渡る様子。なぜなら、繁栄と秩序がそこにあるから」なかなか深い言葉だと感じた。交差点と言えば、特に渋谷交差点は、日本の名風景である。「大勢の人々が一斉に違う方向から道路を横断するのに、なぜぶつからないのか」と感心する外国人観光客は少なくない。

別の中国人観光客が好きな東京の観光スポットは都庁だという。中国人にとっては、東京都庁は「北京市政府」みたいな存在である。つまり権力者がおられる所で、東京の「政府」であるが、実際に都庁に行ってみると、観光客でにぎわう光景が広がっていた。

都庁の中には、観光情報センターやお土産コーナーがあり、中国語を話せるスタッフが観光客を熱心に案内している姿も見かけた。観光情報センターでは、東京だけでなく全国の観光情報も紹介している。さらに、英語・中国・韓国語など外国語の観光パンフレットやチラシが並び、まるで観光地である。

中国人観光客がどこに行っても必ずすることが記念撮影である。都庁の中でも、あちこちで撮影する人の姿が目立った。さらに、都庁の展望台は無料で開放されている。スカイツリーに比べたらちょっと低いけど、無料で202メートルの展望台から東京の街を一望するのはなんとなく「お得」な気分になるだろう。

私の最も忘れがたい中国人観光客のエピソードを紹介したい。以前友人に頼まれ、中国の農村部の民間企業経営者数人を日本の大学に案内したことがある。息子を日本に留学させたい経営者のリクエストで、その人は日本の大学では早稲田大学しか知らなかったため、早稲田大学を案内した。彼らにとって初めての日本旅行で最初に訪れた場所となった。彼らは大隈記念講堂の前で記念写真を撮っていた。

彼らの学歴は高くなく、中学校中退・高校中退の人もいた。会社経営で財を成した彼らは、「どうしても子どもに良い教育を受けさせたい」と感慨深く語っていた。中国人観光客の中で、教育と知識に憧れる人たちがいるのだと知り、嬉しく感じたことをよく覚えている。

交差点、都庁、そして名門大学。中国人観光客が好きな日本の風景がそれぞれ違うように、中国人の対日感情も個人差が大きくなるはずだ。メディアや教科書の言いなりではなく、自らの心で日本を認識し、物事を判断していくだろう。「日本旅行は立派なことだ」と言いたくなった。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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