2018年9月18日、中国人観光客一家3人がスウェーデンで粗暴な扱いを受け、中国のネットユーザーから激しい憤慨の声が出ている。そうした中、中国メディアの上観新聞によると、隣国フィンランド観光局のウェイボー公式アカウントの投稿が、中国のネット上で注目を集めている。

この騒動について、中国メディアの環球網は15日付の記事で、次のように伝えていた。

中国人の曽（ズン）さんと両親の3人は今月2日未明、ストックホルム市内の宿泊施設に到着した。チェックインが可能になるまでまだ時間があったため、両親の体調を心配してロビーの椅子で休憩したいと伝えたところ、「すぐに出て行け」と言われ、警察に通報された。

曽さんは警察官に両親が服用している薬について説明し、両親だけでもホテルのロビーに留まらせてほしいと訴えた。だが警察官は曽さんの父親を椅子の上から抱えあげてホテルの外に放り投げるなどし、最終的には3人を警察車両に載せ、数十キロ離れた墓地に置き捨てにしたという。

曽さんから連絡を受けた現地の中国大使館と中国外交部は、スウェーデン側に厳正な申し入れを行った。また中国大使館はスウェーデンへの旅行者に対し注意を喚起した。

一方、中国メディアの網易によると、現地の中国大使館は「当該中国人とその家族はもともと、1日にチェックインするつもりだった。しかし、中国人は予約を取り間違えており、実際には2日のチェックインとなっていた。1日深夜にホテルに到着したものの部屋は予約でいっぱいだったため、中国人は『使用料は払うので、1階のバーにあるソファで時間を過ごさせて欲しい』と頼むも、宿泊施設側は同意しなかった」と説明した。

同大使館領事部の関係者は、トラブル時に中国人一家と宿泊施設との間でつかみ合いのけんかには至っておらず、過激な威嚇するような言葉も使われなかったとした一方で、中国人客がその場で感情を高ぶらせて大声で交渉した可能性は排除せず、「トラブルを仲裁しようとした警察官のやり方は非常に粗暴であり、スウェーデン側に真相の究明を求めている」などとしたという。

報道によると、現地警察の責任者は「中国人観光客も警察の対応も法律に違反するものではない」などと説明しているという。

上観新聞によると、この問題が大きな物議を醸す中、中国のネット上では、フィンランド観光局のウェイボー公式アカウントが17日に投稿した内容が注目を集めている。

それによると、フィンランドで今年2月、列車で降りるべき駅を乗り過ごしてしまったアジア人乗客が乗務員に助けを求めるということがあった。アジア人乗客が「次の停車駅で降りた場合、夜のため待合室は閉まっている。マイナス21度の寒さの中、大きな荷物と幼い子どもを連れて宿を探すのは難しい」などと訴えたところ、この乗務員はすぐに、交通管理当局の許可を得た上で、逆方向の列車の乗務員に連絡。二つの列車はすれ違う際に臨時停車し、乗務員はアジア人乗客を逆方向の列車に送り届けたという。

フィンランド観光局はこの話を紹介した上で、「フィンランド人は内向的だ。社交的ではない。だが与えられる支援はこのようにとても暖かい」とコメントした。

上観新聞は、この投稿を受け、中国のネット上で「当時フィンランドを旅行したが、スウェーデンに行かなかったのは正解だったようだ」などの声が出ていることを紹介し、「この投稿ではフィンランド以外のいかなる国についても触れていない。だが中国のネットユーザーは投稿の背後にある『計算』を読み解いたようだ」などと伝えている。（翻訳・編集/柳川）