黄 文葦 2018年9月20日(木) 15時10分
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最近のマスコミでよく見かけた言葉は「平成最後の夏」である。「最高の思い出を作りましょう!」とか、「忘れられない恋したい!」とか、盛り上がっていた。早くも「平成」を名残惜しいと感じている。資料写真。
最近のマスコミでよく見かけた言葉は「平成最後の夏」である。「最高の思い出を作りましょう!」とか、「忘れられない恋したい!」とか、盛り上がっていた。早くも「平成」を名残惜しいと感じている。
私は、この「平成最後の夏」に自然と人間の繋がりを知った。この夏は夕焼けがきれいな日が多かったように思う。海や山といった観光スポットに行かなくても、家の近くや商店街などで、西方の空を見上げると空が燃えているような夕焼けが広がっていた。そして、「どんな忙しくても、夕焼けを見る時間を作りたい」と平成最後の夏に心に決めた。現代人はいつも時間に追われて、暮らしの中の美を忘れがちである。自然の美を逃してしまうのはもったいない。
この夏、ちょっと不思議な体験をした。花粉の季節でもないのに、花粉症のような症状が出たのだ。病院に行って診察を受けた際、いきなり「先週の月曜日、めまいといった症状はありましたか?」と聞かれた。「なぜご存知なんですか?」と思わず聞き返してしまったほど、私はお医者さんの問いにびっくりした。
思えば、確かにその日はめまいがした。「医者ですから」とお医者さんは微笑んで説明してくださった。お医者さんは、「その日は台風の前日なんです。実は、人の体は自然と密接な関係を持っています。『気象病』という病気があります。台風の通過など気象の影響で、めまいや頭痛などを発症することが考えられます。今回の花粉症のような症状も雨の日なので、鼻が敏感に反応したためです」と話してくれた。
確かに、私がめまいを感じた日は「非常に強い」勢力を持った台風21号が日本に上陸する前日であった。自分の体が台風と雨に反応してしまい、「天気予報機能」をつけられているではないかと複雑な気持ちになった。それゆえに、自然と友達になるべきだと思っている。自然に敬畏の心を抱かなくてはならない。自然がよくなるために、自分には何ができるのか真剣に考えずにはいられない。
自然は私たちに無限の美とたくさんの試練を与えている。平成最後の夏は、きれいな夕焼けと共に自然災害も記憶に残った。この夏は災害レベルの暑さ、台風、豪雨、地震などなど、心を痛むほどの自然災害が日本各地に甚大な被害をもたらした。日本が自然災害多発国であることを平成最後の夏に改めて痛感した。「無常観」は、中世以来長い間培ってきた日本人の美意識の特徴の一つと言われているが、自然に対し「仕方がない」と、淡々とした態度だけで良いのだろうか。
天災は忘れた頃にやって来る。9月6日の北海道地震は想像以上に被害が大きく、停電が問題となった。東日本大震災から7年が経った今、日本社会の節電意識は薄れ、明るさへの「罪悪感」が消えつつある。「節電」というより「社会の一体感」が薄れているのではないかと思う。この夏、あまりにも自然災害が多いので、ネット上では「平成で日本が終わるかも」といったネガティブな声もあった。
自然と調和するために、何か新しいことを始めるのはどうだろうか。私はとりあえず、本屋さんに行く際にはマイブックカバーを持つことに決めた。本を買う際についてくる紙製のブックカバーが不要になり、ゴミが減るだろう。きっと一人ひとりができることを見つけられると思う。
■筆者プロフィール:黄 文葦
在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。Facebookはこちら「黄文葦の日中楽話」の登録はこちらから
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