カルト教団が中国人留学生を「殺す」と脅迫―共産党組織もだまされたデマ、警察が処罰

Record China    2018年9月5日(水) 15時20分

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山東省煙台警察は3日、ドイツ留学中の中国人学生がカルト教団に脅迫されたとの情報について、デマであり関係者を処罰したと発表した。写真はデマと分かる前に中国共産党下部組織の中国共産主義青年団が発表した救援の申し出。

4日付観察者網などによると、山東省煙台警察は3日、ドイツ留学中の中国人学生がカルト教団の撒旦教(サタニズム)に「殺す」と脅迫されたの情報が広まった件について、デマだったとして関係者を処罰したと発表した。

デマは、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)を通じて広まった。まず、北京に本社を置く企業の山東省煙台市事務所が設けたアカウントの「大欧州吐槽君(ダーオウジョウ・トゥーツザオジュン=大欧州ツッコミ君)」に対して、ドイツ留学中の中国人学生と称する女性から、カルト教団の撒旦教に「殺す」と脅迫されているとする連絡があった。

留学生は撒旦教が自室のドアに挟まれていた、赤色で書かれた悪魔のような絵も紹介。おびえているなどと主張した。

「大欧州吐槽君」の管理者は真偽の確認をせずに情報を対外発信し、さらに同じ企業が運営する「北米吐槽君」など微博の複数のアカウントや、やはり中国のSNSである微信(ウィーチャット)」でも情報を広めた。

その結果、多くのユーザーが反応。「留学中の女子学生が招待不明の人物に脅されている。大使館に関心を持たせられないのか。本当に危ない」などの投稿が相次いだ。

さらに、中国共産党の下部組織である中国共産主義青年団(共青団)もSNSを通じて「あなたが世界のどんな片隅にいたとして、覚えていてください。あなたは一人ではありません!」「現地の警察に早く連絡してください。大使館のホットラインに電話してください、あるいはわれわれに手紙をください。われわれは職責の範囲内で全力であなたを助けます」といったメッセージを発信した。

その後、中国外交部(外務省)や共青団の調べで、「撒旦教に脅されている」との情報は、ドイツ在住の中国人によるデマと分かった。山東省煙台市警察は、インターネットの管理に関連する法律を根拠に、デマを広めることになった会社に9000元(約14万7000円)、実際に操作をした3人にそれぞれ1000元(約1万6300円)の罰金を科した。

また、煙台市警察はデマを流したドイツ在住の中国人については「犯罪容疑者」と表現した。帰国した場合、刑事責任が問われる可能性がある。

なお、中国当局は海外で自国民が窮地に陥った場合の救援に極めて熱心だ。例えば、2011年にカダフィー政権下のリビアが内戦になった際には、陸(トラック隊)・海(地中海の連絡船)・空(航空機)の3ルートすべてを使って自国民を引き上げさせた。同様の事例は多く、軍を投入することも珍しくない。

当然ながら、中国国内では共産党や政府、軍を称賛する声が極めて高くなる。中国国民は、国内問題では当局に批判的な見方があっても、対外的な危機が発生した場合、当局を中心に一丸となる傾向が強い。(翻訳・編集/如月隼人

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