日本僑報社 2018年7月30日(月) 7時50分
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浙江農林大学の李夢倩さんは、日本と中国の違いについて作文につづっている。資料写真。
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国にはそれぞれ独特の習慣があるもの。「郷に入っては郷に従え」と言われるが、そうした習慣の違いも異文化交流の楽しみの一つである。浙江農林大学の李夢倩さんは、日本と中国の違いについて作文に次のようにつづっている。
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中国では人に会った時、「ごはん食べた?」と挨拶する。「食べてないよ」と答えたら、相手の家に呼ばれてごちそうになることが多い。夏になると、おばあさんとおじいさんが縁側や大きな木の下で、扇子で扇ぎながら夕涼みをする姿がよく見られる。そばを通る人を呼び止め、隣に座らせて、おしゃべりを始める気さくなおばあさんも少なくない。日本の人は、初めは煩わしいと思うかもしれない。でも、中国での滞在時間が長くなるにしたがって、このような光景に馴染んでくるだろう。これこそ中国の最大の魅力――「人間味」だ。
私の知り合いのある日本人の男性は、中国に来たばかりの時に財布を無くしてしまった。財布には全ての現金やカードが入っていた。仕方なく、彼は中国の友人にお金を借りた。友人は借用書をもらわずにお金を貸してくれた。彼はそんな体験は初めてだったので、友人に借用書を書かせない理由を聞いた。友人は、「君は信用できるから」とだけ言って、笑いながらお金を差し出した。日本ではまとまったお金を貸す時、借用書をもらわずに貸す人はほとんどいないという。しかし、中国では多くの中国人は自分が信用できる人にお金を貸す時は、借用書は書かせない。親しい間柄なのに借用書を書かせるのは、水臭いと感じるのだ。形式や法律より人情を重んじるのである。
最も人情に溢れている場所は、道端に長蛇の列ができている賑やかな屋台である。日本には「名物にうまいものなし」ということわざがあるが、屋台には高級レストランの食事以上の味があると思う。小さなテーブルの向こうに座っている初対面の友人の笑顔に温かく迎えられ、粗末な椅子に腰掛けて、安くておいしい食べ物を味わう。周りの人の笑い声を背景にして杯のやり取りをしているうちに、ずっと前から知っている友人同士のような気持ちになってくる。
こんな出会いを通してあなたが感じる中国人の人間味は、異郷にいる孤独と不安を和らげる最大の良薬となるはずだ。そんな国民性のおかげで、中国ではどこでも人と人の距離が近く、和やかだ。他人に対して垣根を作らず、温かく接し、しかし礼儀も忘れない。こうした振る舞いは中国では「君子の交わり」と言われる。毎朝、路地を抜け、肉まんや焼きそばなどの屋台の前を通ると、お店の人が朝食を売る声が聞こえる。新しい一日を始める人々にとって一番エネルギーをもらえる場所だ。そして毎晩、帰る途中に、おばさんたちがダンスを踊っている広場を通り、やさしい眼差しをもらう。時には自分も一緒に踊りの輪に加わる。それで一日の疲れもふっとんでしまう。
微細なところに中国人の本当の生活の醍醐味を感じることができるはずだ。心のこもった料理の並んだ食卓、百年の歴史を持つ民芸品や食品の老舗、公園の老人の顔のしわ、バスの中で席を譲る若者、道端で無邪気に遊ぶ子供達、それら全てに中国人の人間味を見つけることができる。これは中国人の血の中に流れる気心で、生まれつき持っている情熱である。中国に来てくださるみなさん。「ごはん食べた?」と聞かれたら、変に思わずに、「食べたよ」とか「まだだよ」と笑って返事をしてほしい。そうやって中国人の日常に入って来てくれれば、きっとみなさんのまだ知らない中国の顔が見えてくるだろう。(編集/北田)
※本文は、第十三回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「日本人に伝えたい中国の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2017年)より、李夢倩さん(浙江農林大学)の作品「ごはん食べた?」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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