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<コラム>許可取った?トランスフォーマーにスフィンクス、中国の撮影所が前途多難な理由

関上武司    2018年7月23日(月) 19時0分

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蘭州新区駅の目の前にある撮影所の蘭州新区西部影視城は2015年から巨額の費用をかけて建設が進められているのだが、2018年1月の時点ではまだ5割程度の完成度といったところだろう。写真は筆者提供。

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中国・甘粛省の空の玄関となる蘭州中川空港は蘭州市中心部から70キロメートル以上も離れており、さすがに現在は高速鉄道で結ばれ、蘭州西駅から空港まで約30分でアクセス可能だ。空港駅手前の蘭州新区駅の周辺は国家級新区として開発されたのだが、幅が広すぎる道路に走る車はまばらで、住人の気配が感じられないゴーストタウンに見える。蘭州新区駅の目の前にある撮影所の蘭州新区西部影視城は2015年から巨額の費用をかけて建設が進められているのだが、2018年1月の時点ではまだ5割程度の完成度といったところだろう。それでもプレオープンということで30元(約510円)を支払い入園すると、北京の天壇や紫禁城の太和殿が現れたが、近寄ってみると装飾の部分は荒削りだということが判明。

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非常に広大な敷地内では撮影が行われていたものの、撮影クルーや園内スタッフの他には観光客の姿は目撃されず、エサを求めて野犬が筆者に近寄ってきた。同園は映画、アニメ、ゲーム、レジャーの4大テーマで集客を狙う計画もあり、高さ20メートルくらいはありそうな「トランスフォーマー」シリーズのオプティマス・プライムの超巨大ヘッドが設置され、撮影所の中でも尋常ではないオーラを放っている。ヘッドの前のドーム状の建物をロボットの胴体として、腕や足となる部分の建物も建設中で、これだけでも日本のバブル建築を軽く超越しそうな勢いを感じる。

河北省の撮影所にあったほぼ実物大に再現されたスフィンクス像はエジプト政府を激怒させ、残念ながら撤去されてしまったが、同園にもスフィンクス像は再現されている。しかも頭頂部には避雷針付きで。中国のネット記事にも「蘭州のスフィンクスがエジプトの許可を取得していることを願う」とコメントされている。さすがに本物のようにスフィンクス像の後ろにピラミッドはなく、甘粛省の荒野が広がっており、雪が積もることもある。丘の上にはパルテノン神殿もそびえ立ち、一通り敷地内を観察すると全体的に建設途中であっても娯楽施設としてのコンセプトがわからなくなってくる。

中国のテレビを視聴していると毎日のように時代劇が放映されており、豊富な番組制作費用が羨ましいと言いたい。中国各地には撮影所=影視城があり、一般的に観光地としても機能している。広大な規模で作られて集客力の高い施設も見られるが、筆者は複数の廃墟化している物件も訪問している。さすがに影視城は供給過剰な観光施設ではないだろうか?紫禁城の太和殿だけでも同園の他に浙江省の横店影視城、福建省の同安影視城にも再現されている。蘭州新区西部影視城の開発計画がどのように行われるのか不明だが、周辺がゴーストタウンであることから判断すると前途多難かもしれない。

■筆者プロフィール:関上武司

1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。

■筆者プロフィール:関上武司

1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。

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