<直言!日本と世界の未来>地震対策に万全を、企業経営にも甚大な影響=大阪北部地震に思う―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2018年6月24日(日) 5時0分

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震度6弱を観測した地震が6月18日、大阪や京都を襲った。水道管損傷に伴う断水やガスの供給停止などライフラインや交通網は大混乱。都市機能のもろさを露呈した。南海トラフ地震や首都直下地震が想定される中、今回の地震を踏まえ、震災対策の見直しが急務であろう。

震度6弱を観測した地震が6月18日、大阪や京都を襲った。水道管損傷に伴う断水やガスの供給停止などライフラインや交通網は大混乱。都市機能のもろさを露呈した。違法なブロック塀の倒壊で小学生が亡くなったのは痛ましい。今後、南海トラフ地震や首都直下地震が想定される中、今回の地震を踏まえ、老朽化した水道管というインフラの更新など震災対策の見直しが急務であろう。

地震の影響は企業活動にも及び、水道管の破裂や機械の損傷により一部の工場の操業が止まった。物流では道路渋滞などから遅延が生じ、百貨店の休業も相次いだ。医療機関でも、非常用電源が使えなかったり機材が不足したりする病院があったという。

今回の地震は気象庁によるとマグニチュード6.1だった。M7級だった1995年の阪神大震災や2年前の熊本地震よりも規模は数段小さいが、都市機能への影響は甚大で、直下地震への都市のもろさが浮き彫りになった。耐震基準を満たさない建物だけでなく、古い塀や壁なども点検や補修を急ぐべきである。ハード面の対策だけに頼らず、通学路や避難路は危険な構造物の近くを避けるなど、ソフト面の対策強化も必要だ。

地震大国・日本の都市ではM6~7クラスの地震がどこでも起こりうる。とくに政治や経済活動が集中する首都圏では今回の地震から教訓を導き、対策見直しに生かす必要がある。

西日本でも次の南海トラフ地震が近づいていると予測され、それに伴う内陸地震が増えている。地震をよそ事と考えずに対策を強めるときだ。1995年1月17日の阪神淡路大震災は未曾有の大災害となった。この時の教訓が生かされたのだろうか。今回の大阪北部地震は何をすべきか教えてくれ、教訓として生かす必要がある。

直下型大地震は30年以内に70%の確率で日本を襲うと警告されている。起これば企業経営にも甚大な被害を及ぼす。対策に万全を期すべきであろう。

<直言篇53>

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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