中韓がFTA交渉を開始、日本側に焦りも―中国メディア

Record China    2012年5月13日(日) 10時2分

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11日、中国メディアは中韓がFTA交渉を開始したことで日本側に焦りがみられると指摘した。写真は北京国際モーターショーの現代自動車ブース。

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2012年5月11日、中国新聞社によると、第5回日中韓首脳会議の前夜、日中韓自由貿易協定(FTA)が年内に交渉開始するという情報が日本側から伝わった。これまで交渉の即時開始を目指してきた日本だが、これを「年内」に延期することとなる。一方、中韓両国は5月2日、両国間のFTA交渉の開始を宣言した。日本は中韓の動きに乗り遅れており、国内世論が懸念を示している。人民網日本語版が伝えた。

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TPPかFTAか

日本がFTA交渉に遅れているのは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を決めかねているためだ。米国はアジア回帰を宣言し、その戦略の一つが経済分野でのTPP推進となっている。同盟国の日本は、TPPのリード役となった。しかし日本国内でTPPに反対する声が多く、野田首相の2012年4月29日の初訪米前夜、反対派と賛成派が半数に達した。野田首相は日本のTPP交渉参加を促しているが、国内世論に配慮し、オバマ大統領に対して決定の先送りを言い渡した。これ以上米国を刺激しないため、野田首相はFTAの決定も先送りにせざるを得ない状況だ。

TPPはFTAより格上で、その実現がより困難である。TPPは24分野の政策と制度(自動車や農薬の安全基準、弁護士や医師などの就業資格、公共プロジェクト入札条件の緩和など)を含む。日本国内で日本のTPP参加を支援しているのは工業・商業・貿易界が中心であり、反対派の代表は農業界だ。日本は長期的に農業保護政策を実施しており、輸入農産物に対して高い関税を設けている。農産物の輸入が自由化となれば、日本の農業は崩壊の恐れが出てくる。

TPPはアジア太平洋地域の各国に関わり、加盟国が多数のため、その提携が困難である。現在TPP交渉に参加している9カ国は経済的な小国が多く、日本と利害関係が一致する国が少ない。そして特に重要な中国、インド、韓国がTPP交渉に参加しておらず、日本が参加する意義が不足している。

FTAに関して、日中韓は長年に渡り共同研究を実施しており、かつ三国の貿易密集度が高い。日中韓自由貿易区を基礎とし、三国は貿易提携をさらに推進していく。FTA参加国のこれまでの関税が高かったとすれば、関税撤廃後の貿易がもたらす利益は大きなものとなる。計算によると、日中韓FTAにより、韓国のGDPが3.27−5.14%、中国が0.89−1.54%、日本が1.05−1.21%上昇する見通しだ。

◆日本の懸念

中韓がFTA交渉を開始したことで、日本は大きなプレッシャーを受けている。日本は日中韓FTA交渉において、韓国が日本を排斥することを懸念している。

日韓は電子産業、家電、自動車などの産業で重複している。中国という巨大な市場を前にして、両国間で競合が生じている。

韓国国内のアンケート調査によると、韓国企業の半数は中韓FTA交渉の推進を希望しており、日中韓FTAの交渉を希望する比率は28%、日韓FTAは7%にとどまった。韓国が中国との交渉開始を宣言したことは、日本を抜かし中国を優先したと見られる。

丸紅株式会社中国戦略委員会事務局の成玉麟(チョン・ユーリン)氏は、「中韓がFTA提携を開始すれば、日本が中国市場で優勢を占める戦略的支柱産業は、韓国からの攻勢に直面する」と指摘した。自動車産業を例とすると、中国は輸入自動車に対して平均16.7%の関税を設けているが、中韓FTAにより関税が撤廃されれば、中国という世界最大の自動車市場で韓国車がより安価で得られることになる。日本自動車産業はこれにより、深刻な影響を被るだろう。

韓国はまた、EUや米国ともFTAを締結した。韓国は欧米が中国で投資を行う際の仲介者となり、日本という競合相手を大きく突き放すことができる。

日本は欧米および中国とFTAを締結していない。情報によると、日本も韓国に対抗するため、中国とのFTA交渉の開始を検討しているという。日韓は巨大な中国市場に視線を向け、新たな貿易枠組みを構築しようとしている。

成氏は、「中韓の交渉宣言を受け、日本政府はジレンマに陥っている。一方では間もなく始まろうとしている中韓FTA交渉に注意し、一方では格上のTPP交渉に注意しなければならない」と語った。現在の情勢は、中国が日韓両国を促し、日中韓FTA交渉を進める上で有利である。(編集/TF)

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