<中国ビジネス「時流自在」>4■パクリ問題(4)三位一体のパクリ対応策が有効

Record China    2012年5月17日(木) 7時26分

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パクリ問題に対するミクロの現場における防止策としては、図(写真)のように(1)中国法上での対応、(2)社内現場での対応、(3)製品・技術・図面での対応―の三位一体の対応策が挙げられるだろう。

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パクリ問題に対するミクロの現場における防止策としては、図(写真)のように(1)中国法上での対応、(2)社内現場での対応、(3)製品・技術・図面での対応―の三位一体の対応策が挙げられるだろう。

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■中国法上での対応

まず、中国で使用する商標、ブランドはできる限り早期に登録しておくことである。

中国に事務所や法人拠点を持たなくても、日本から直接申請もできるので、最初の中国向け技術提携や輸出開始などの契機に早期登録しておくとよい。商標登録を怠ると、他社にとられてしまうだけでなく、いざという時の法的な抗弁ができなくなる。

ただし、技術特許申請については、中国では技術公開すること自体にリスクが伴うので、核心のコア技術は避けて周辺技術の特許にとどめ分散して申請したり、あるいは食品のように、敢えて申請せず、材料やレシピは「門外不出」を伝統とするという対処法もある。

■社内現場での対応

社内、現場で製品・技術・図面、顧客リスト、顧客情報などの秘密情報にアクセスした場合の管理記録(あるいはログ)を必ずとること。社内規程を制定して情報管理コンプライアンス体制を確立し、辞令、業務日誌、記録簿、ログなどの正式記録で、情報管理責任者個人の管理責任の所在、罰則を社内規則上、労働契約上で明らかにしておくことである。同様に、他社と技術提携する場合も、法人としての責任だけではなく、情報管理者個人の責任も明らかにしておくのが理想である。

このように、社内の情報管理制度と秘密保持規定、罰則を明確に定め、日頃から社内で周知しておくことは、社内からの秘密漏洩を食い止めるだけでなく、いざ違反者を解雇する場合、あるいは秘密漏洩など行政訴訟、損害賠償請求の民事訴訟など、出るべきところに出た場合の中国法上での「法的根拠」、「事実証明」にもなる、極めて大切な措置である。

■ハードウエア製品・技術・図面、ソフト通信面での対応

「ハードウエア上での秘密保持対応」については、過去、各社各様に様々な対処法が開発されていて面白い。

たとえば、分解しなければ判らない「隠れた刻印」を打っておく方法。そうしておけば、製品が万一事故を起こした場合、現場で事故品を分解して刻印番号や日付印字を確認することで、当該製品が当社の純正品かどうかも含めて、すぐに証明することができる。あるいは、逆アセンブリを防止するため、第三者が勝手に分解すると、自動的に内部が破壊されてしまう仕組もある。

また、図面の中で本社技術者なら誰もが判る箇所に「敢えて線を引かない」ことでデッド・コピーを防止する(図面どおりに作成しても機能しない)といった、日本人の得意な「黙知」を逆用した独特の秘密保持対処法もある。

ソフト・ネット通信面での秘密保持対応も近年進化が著しく、ICタグ、複雑な暗号化システム、インターネット通信による暗証キー照合管理、アクセスログ記録、GPS利用の盗難防止システム等のハイテク管理が活用されている。

(<時流自在>は筧武雄・チャイナ・インフォメーション21代表によるコラム記事)

<筧武雄氏プロフィール>一橋大学経済学部卒北京大学留学、横浜銀行北京事務所初代駐在員、同行アジアデスク長、海外経済協力基金(OECF)派遣出向などを経てチャイナ・インフォメーション21を設立。横浜国立大学経済学部非常勤講師、神奈川県産業貿易振興協会国際ビジネスアドバイザーなど多くの役職を経て、現在も横浜市企業経営支援財団グローバルビジネスエキスパートなど、日本企業を支援する中国ビジネスコンサルタントとして活躍中。

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