人民網日本語版 2018年6月6日(水) 8時20分
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トランプ政権は5月23日、国家の安全保障を理由として自動車の輸入関税引き上げの調査を開始し、日本政府と日本の自動車産業を震え上がらせた。写真は日本。
今年3月、米国のトランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウムの輸入製品は米国の安全保障上の脅威であるとして、鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の追加関税を課すことを発表した。欧州連合(EU)、カナダ、メキシコ、オーストラリア、韓国などのエコノミーは関税適用の対象から一時的または長期的に除外されたが、米国の重要な同盟国である日本は除外の対象外だった。それだけではない。トランプ政権は5月23日、国家の安全保障を理由として自動車の輸入関税引き上げの調査を開始し、日本政府と日本の自動車産業を震え上がらせた。もしもトランプ政権が米通商拡大法232条に基づいて自動車への高税率の輸入関税を決定したなら、日本の産業界は鉄鋼・アルミ関税を大きく上回る深刻なダメージを受けることになる。光明日報が伝えた。
米国が今年3月に鉄鋼・アルミ追加関税を発表してから、日本はなかなか除外リストに入れず、各方面が頭を悩ませてきた。安倍晋三首相はトランプ大統領と首脳会談を開催し、信頼関係を築き、できるだけ早く除外リストに入りたいとしていた。だが日本政府のいう最も「親密な同盟国」は、日本を除外の対象としないだけでなく、自動車で「さらに一撃」を加えた。
日本の鉄鋼・アルミ製品の対米輸出額は毎年20億ドル(約2200億円)ほどで、日本の輸出製品の多くは米国企業が代わって製造することはできないものだ。よって実質的な損害の程度はそれほど大きいとはいえない。だが日本が毎年米国に170万台を供給する自動車と関連部品の輸出額は560億ドル(約6兆1600億円)に達し、日本の対米輸出額全体の15%以上を占め、現在25%の関税を課される鉄鋼・アルミ製品とは規模が異なる。自動車製造に携わる従業員も100万人に迫る規模だ。11月に行われる中間選挙を前にして、米国では保護貿易主義が徐々に極端な方向に向かっている。米国が発動した「貿易戦争」もますます激しさを増す。これは今後、世界の経済成長にとっての重大な障害になるとみられる。
3月に鉄鋼・アルミ追加関税が徴収され始めたばかりの頃、日本の政界は対象から除外されることを確信していた。日本の鉄鋼の対米輸出量はカナダ、EU、韓国、メキシコ、ブラジルに次ぐもので、米国の輸入総量に占める割合は4.9%しかなかったからだ。米国の同盟国・日本の関係者は、日米間には「緊密な友情」があると考えていた。だからこそ除外の対象にならなかったことは、日本を大いに落胆させた。
この間の世論の見方によると、除外の対象にならなかった原因には次の3つがある。第1に、2017年に米国の対日貿易赤字は688億5000万ドルに達し、トランプ大統領はかねてより日米間の貿易は非常に不公平であり、日本は対米貿易赤字を削減するためにまだできることがたくさんあると考え、農業と自動車の分野で日本が譲歩することを願ってきた。米国は環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱すると二国間の自由貿易協定(FTA)に力を入れたが、日本はTPPこそ両国にとって最良の選択であると常に考えてきた。両者の間の根本的な溝は日米貿易におけるギャップにつながり、簡単に超えることはできないものだ。
第2に、日米同盟は日本にとって常に外交戦略の基礎であり、米国のアジア・太平洋における二国間同盟システムの中で最も核心的な同盟だ。だが米国は経済分野では日本を「同盟国」とはみなさず、日本政府はこの点を正しく認識できていない。米国の不合理な追加関税に直面して、EUや他国はただちに態度を表明して対抗措置を執ったが、安倍政権だけは終始腰が引けており、日本の輸出は米国の安全保障に影響しない上に、質の高い日本の鉄鋼アルミ製品は替えがきかないものだとくどくど説明するばかりだった。結局、安倍首相がトランプ大統領と日本のいう「ハネムーン関係」を築いたにせよ、日本は拒絶される運命から逃れることができなかった。
第3に、トランプ大統領は今年11月、中間選挙に突入する。米国に有利な貿易環境を構築し、より多くの指示を得るため、さまざまな形の保護貿易政策がトランプ氏の票集めの重要なツールになるとみられる。2016年にトランプ氏をホワイトハウスに送り込んだ米国の有権者の大部分は、かつて鉄鋼業や製造業が栄えていた「ラストベルト」の人々だった。
世界貿易機関(WTO)が5月22日に発表した文書によると、ロシア、トルコ、日本がWTOに通知を送り、米国の高税率の追加関税が3カ国の鉄鋼・アルミ製品の輸出コストを増大させているが、米国はWTOルールに従って補償を行っていないので、3カ国は米国製品に対して拡大したコストに相当する金額の報復関税を課し、WTOメカニズムに則って米国の鉄鋼・アルミ関税への対抗措置を打ち出す「戦隊」に入ることを検討中だと伝えた。現在の状況をみると、トランプ氏は日本を相手にうまいことをペラペラ言うだけでなく、日本の痛いところを着実についている。こうした状況に直面して、日本が本気になって、「最も親密な同盟国」に対する妥協的な態度を捨てることができるかどうかが重要になる。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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