<コラム>中国の旧正月を初体験、考えられない光景にあ然とした

曽賀 善雄    2019年2月3日(日) 14時40分

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中国人にとって一年の中で最大にして最高のイベントが春節。苦労して切符を買い故郷に帰る人を始め、家族と一緒に過ごす春節の「過年」と言われる年越しは、大人も子どもも心が躍る時期なのです。写真は中国の春節の飾り。

中国人にとって一年の中で最大にして最高のイベントが春節(旧暦の正月、今年は2月5日)。苦労して切符を買い故郷に帰る人を始め、家族と一緒に過ごす春節の「過年」と言われる年越しは、大人も子どもも心が躍る時期なのです。この時期は街中の雰囲気はどこもすごい盛り上がりで、皆が欣喜雀躍そのもの。

そんな春節が近づいていたある日、中国の友人と会ったときに、きれいな「5角」のコインを持っていないか?」と尋ねられました(「5角」とは2枚で1元の硬貨)。訝りながら話を続けると…。

【年越しには欠かせない餃子】

中国で「除夕」と呼ばれる旧暦の大晦日の夜、家族が揃っての夕食は「年夜飯」と呼ばれる特別な食事です。それだけに豪華な料理が並びますが、欠かせないのが餃子。

その日は朝から餃子づくりが始まります。そして、その中に5角のコインを入れた餃子をいくつか作ります。夜、食べた時にコインが入っていればラッキー、お金には困らない一年になる、とにぎやかに団欒を過ごすという訳です。

運勢を占うフォーチュンクッキーならぬ、「フォーチュン餃子」。せっかく「当たり」を引いたのに、口の中から古びた5角のコインが出てきたら…。そんなことでげんなりとしてしまっては、せっかくの団欒がぶち壊しになりかねません。やはり、新しいきれいな5角がいいですよね。ようやく理解できました。

ところで、春節前後は一年の中でも最も寒い時期です。栄養に富む餃子は寒さを乗り越えるのに最適な食べ物だそうです。昔から「大寒小寒の寒い時期に餃子を食べて年越し」、と巷間で言われていることが納得できます。

【春晩】

除夕(旧暦の大晦日)の夜、8時から中国の国民的テレビ番組である、「春節聯歓晩会」が始まります。日本の紅白歌合戦に相当しますが、視聴者が7億人というお化け番組。放送しているのは国営放送ですがCMも流されています。圧倒的高視聴率ですからCMを打つのも恐ろしいほどの高額。それらのでかさには驚かされます。

春節の午前1時まで5時間にわたって歌やマジック、京劇やコントなど、さまざまな演目で、家族団欒の時間を楽しませてくれます。

【そこまでやるか、花火】

除夕(旧暦の大晦日)の日付が変わる前になると、街のあちこちで花火が始まります。花火と言っても、それぞれのお家が家のまん前で打ち上げ花火をするのです。ピーク時にはまるで戦場のよう。見ている分にはなかなかの景色なのですが、音、煙と火薬臭でものすごいことになっています。

今でこそ、街中での花火や爆竹が規制されていますが、少し前まではやりたい放題。中には、アパートの屋上から打ち上げた入り、自室の窓から火の粉を噴き出していたり…。もう大変です。テレビの音もかき消されて聞こえません。

中国での旧正月を始めて体験した年のことです。深夜零時近くになると、あまりにも花火の音がすごいので街に出てみました。すると、大通りのセンターライン上に打ち上げ花火の箱が並べられていて、そこから勢いよく次々と花火が打ち上げられているのです。花火の箱は、ちょうど一斗缶くらいの大きさで、箱の中には花火の火薬が詰まった筒が何本も入っています。

小さくても目の前で打ちあがる花火は、実にきれいで見事です。花火に見とれていると、車がその連射されている花火のすぐ横を走っているのです。考えられない光景を目にしてあ然としました。

それだけ好き勝手に花火をすると事故も起きますよね。打ち上げられた花火が、建物のベランダに敷かれた人工芝に引火し、外壁に燃え移ったとか、けがも後を絶たないようです。

【春節がその年の起点】

こうして、除夕(旧暦の大晦日)の夜も更けて、新しい年が明けます。途端に今度は「過年好」や「万事如意」といった新年のあいさつが、微信(中国のSNS)で続々と送られてきます。

中国では、春節を基準として年が新しくなり、それぞれの年齢も一つ増えるという習慣です。ですから、除夕(大晦日)は、普通の1日ではなく、前の年齢と一つ増えた新しい年齢が繋がった、それはそれはたいへん重要な時だといえます。そう考えると力の入りようもわかります。まあ中には、「また歳をくっちゃった」と自嘲気味に言う人もいるようですが…。

■筆者プロフィール:曽賀 善雄

1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。

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