【週末美術館】変わるウイグルの大地、変わらぬ心

Record China    2010年5月16日(日) 14時34分

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随意に筆を走らせ、生まれ育ったウイグルの大地をそのまま体現したような作品を訥々と描き続ける油彩画家・パーアルハーティー。社会の経済発展が及びはじめた故郷の生活の変化を心のままに、創作に表出している。

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生まれ育ったウイグルの大地をそのまま体現したような、簡素で素朴な作品を訥々と描き続ける油彩画家・●爾哈提(パーアルハーティー、●は巾に白)。畑の収穫や旅路の家族、酒場の女主人、果物売りの少女など、つつましく堅実な暮らしを営む人々をテーマとしているが、昨今の社会の変化にともなって、創作の心境にもいくばくかの変化が表れているという。

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起伏や物語性のない作品。整った構図や厳格な造形、調和のとれた色彩のいずれとも無縁なパーアルハーティーの世界だが、随意に筆を走らせ、断続的に現れては消える心の動きをそのまま映し出した作風は、朴訥ながらもかえって饒舌な言葉を持っている。

パーアルハーティーは近年、故郷のウイグルを旅して大きな衝撃を受けたという。社会の経済発展が内陸の僻地にまで及び、人々の暮らしは確実に変化しはじめていた。しかし、彼自身は物質的文明が発展すればするほど、自分の中に眠るプリミティブな感情が湧きあがってくるのだという。

そんな彼の目線を通じて描かれた、あるバザールの情景。にぎわう市場を行きかう人々には顔がない。唯一、手前に位置する女性の物売りが1人、物憂げな表情を浮かべている。潤いはじめた懐と引き換えに、何かを失いつつあるのではないか?心のままに素直に生きればいいのに…そんな作者のメッセージを感じる。(文/山上仁奈)

●パーアルハーティー

油彩画家。新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州出身のウイグル族。自然豊かな新疆の日常風景を多く描き、特に人物画を得意とする。作品は日本やアイルランドなどの美術館にも収蔵されている。代表作に「ふるさと」「5・12」「鶴の舞」など。

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。

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