Record China 2009年10月26日(月) 12時46分
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上海に単身赴任でやってきて1か月。こちらの社会でも、日本と同じような問題を抱えていることに気づいた。今回は両国共通の大きな社会問題、年金制度について考えてみた。資料写真。
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日本で中小企業コンサルタントを務めてきた経験を生かそうと、中国に腕試しにやってきた36歳の私。いきなりの単身赴任を決め込んだが、中国・アジアのマーケット開拓を目指し、長期スパンでこの地に根を下ろそうと決めた。上海へ来て1か月あまり、午前中は中国語を猛勉強。午後は友人の経営するIT会社で業務に携わる毎日である。
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今回は日中両国共通の大きな社会問題、年金制度について考えてみた。日本の若い世代は、「将来自分は年金をもらえない」と思っている人が少なくないだろう。行政への不信感も強まり、老後の生活への不安は高まるばかりだ。実は、一人っ子政策を続けてきた中国も同様の悩みを抱えている。特に都市部の上海では急速な高齢化が進み、「養老保険」と呼ばれる年金財政がひっ迫している。
人事コンサルティング会社に在籍する知人の話によると、中国では15年間以上保険料を支払い続けた人は60歳から年金を受給することができる。毎月の支給額はこれまで積み立てた総額の120分の1だという。例えば、上海の都市戸籍を持つ月給3000元(約4万円、額面)の人が納める養老保険料は月額900元(1万2000円、月給の30%)である。給料が変わらないという設定で30年間払い続ければ、積み立て総額は32万4000元(約436万円)だ。それを120で割ると1か月の支給額は2700元(約3万6000円)となる。なかなか悪くない金額だ。なお、積立金がゼロになっても、死を迎えるまでは上海市から同額が支払われることになっている。ちなみに08年の上海市の平均寿命は81.28歳だとか。年金財政がひっ迫する理由はこのあたりにありそうだ。
中国の社会保険制度は、国ではなく行政単位で行われているので、日本とはだいぶ感覚が違ってくる。上海市民は上海市に保険料を支払い、上海市から受給するというものだ。そのため上海市は上海戸籍を持つ人からのみ保険料を徴収してきた。しかし09年7月から、上海市は市外に戸籍を持つ従業員に対しても保険料の支払いを義務付けている。養老保険基金の財源を確保するために、新たに市外戸籍の従業員からも徴収するということだ。しかも驚いたことに、彼らが故郷(本籍地)に戻ったときには、上海市に収めた保険料の大部分がノーカウントになってしまう。今年末に新たな規定が公布される予定ではあるが、現在の状況で言えば、保険料は払い損となる可能性が大きいのだ。
適切な社会制度の整備は常に現状の後追いになることが多い。激変する中国社会の中では、現行の制度もきっと変更を余儀なくされるだろう。サラリーマンの老後に対する不安はどこも同じようである。(30代男性/生産、物流現場カイゼン研究会勤務)
※編集部注:文中で「上海の都市戸籍を持つ月給3000元の人が納める養老保険料は月額900元(1万2000円、月給の30%)」としている記述についてですが、中国人力資源・社会保障部のHPによると、養老保険料は給与総額のおよそ28%で、うち企業負担が最大20%、個人負担が8%。企業負担の割合については各地方自治体によって規定が異なる。
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