Record China 2009年7月30日(木) 16時29分
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7月30日、レコードチャイナ・ライターによる個人ブログ「全人類の中国分析2」は、民主党政権が誕生する可能性をふまえて、日中関係における経済問題の今後を論じた。資料写真。
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2009年7月30日、レコードチャイナ・ライターによる個人ブログ「全人類の中国分析2」は、民主党政権が誕生する可能性をふまえて、日中関係における経済問題の今後を論じた。
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前回から、民主党政権が実現する可能性をふまえて、日中関係の今後を考えるという作業を進めている。今回は経済について考えてみよう。
<中国の明確な国家目標>
中国経済は日の出の勢いだ。都市住民と農民、東部沿海地域と西部地域、漢族と少数民族それぞれの経済格差、国有企業への富の集中などに代表される多くの矛盾を内包しているものの、03年〜07年まで、2けたのGDP成長率を維持、08年は金融危機のあおりを受けたが成長率9%を達成、今年も6〜7%の成長率を見込んでいる。驚くべき数字である。今週開かれた米中戦略・経済対話も、中国経済が世界経済において非常に重要な位置を占めていることを示唆している。
注目すべきなのは、経済について、国際社会における国家としての競争意識と、中国国内における個人の競争意識が正常に作用しており、それが結果的には中国政府を救っているということだ。国家としては、「日本を追い越す」ことが第1の目標であるはずだ。そして次に、「米国と並ぶ影響力をもつ経済大国になること」が来る。非常に明確な目標だと言わざるを得ない。
そして、個人としての中国人も勢いに乗っている。多くの中国人、特に若者に、自信がある。目標も明確だ。「他人よりも金持ちになる」、「他人よりも高い地位を得る」、「他人より価値の大きい不動産を所有する」、「他人よりもいい車を所有する」。これらの目標はばかげている、目標としての価値もないと切り捨てるのは簡単だ。しかし、目標は人を動機づけ、積極的な行動を導き、その過程で他のもっと崇高な目標へと導くこともある。
そのように明確な国家目標を掲げ、国民に目標という希望(たとえそれが幻想であろうとも)を与える強いリーダーシップには、政府や中国共産党に浸透している病的なまでの汚職体質にもかかわらず、漢民族を中心とする中国国民がついてくる。多くの知識人も、国家による情報統制や国家的思想扇動をある程度認識しているにもかかわらず、国家の方向を批判するよりむしろ、中国政府と軸を一にすることを選ぶ。対日本政策や少数民族政策はその典型だろう。これは戦前の日本も経験したことだ。
<日本は中国の挑戦を受けよ>
多くの日本人には、中国人のような具体的な目標がない。若者に、希望をもてと言ってみたところで、彼らは先が見えている人生に希望などもてない。「日本をアメリカより強い国にしたい」などと発言でもしようものなら、一笑に付されるのが落ちである。日本社会では競争意識が働かなくなりつつある。一生懸命働いても報われない、希望のない社会。それが国家としての日本の競争力も大きく削いでしまっている。
誤解を恐れずに言えば、「中国にだけは負けたくない!」、日本はそんな感情をあらわしてもいいと思う。ただ中国の汚点をけなして自分を慰めるだけでなく、中国と真剣に競争してみたらどうだろう。日中経済が相互補完的になるのは、現時点では非現実的だ。いま、中国の挑戦を受けて立つことが、私たちには必要なのではないだろうか。
そのために、若い世代の経済活動への意欲を回復させることが急務だ。しかし相手の土俵で戦うことはない。「GDP」や「経済成長率」などに代表される、「より高く」「より大きく」「より強く」という拡大志向だけでは、日本経済も日本社会も破綻してしまうという教訓を日本人はすでに得た。いま、経済活動そのものからのアプローチよりもむしろ、生きがいの追求、幸せの追求が経済活動に結びつくように、行政によるサポート体制が求められていると思う。
<民主党には期待する…が>
民主党は 27日に発表したマニュフェスト(公約)で、中小企業の活性化(第36)、職業訓練制度(第37)、最低賃金の引き上げ(第40)、ワークライフバランスと均等待遇の実現(第41)をうたっている。特に「生きがい」に直結しそうなワークライフバランスでは、「全ての労働者が1人ひとりの意識やニーズに応じて、やりがいのある仕事と充実した生活を調和させることのできる『ワークライフバランス』の実現を目指す」としている。
その具体策として、「性別、正規・非正規にかかわらず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得られる均等待遇を実現する」、「過労死や過労自殺などを防ぎ、労働災害をなくす取り組みを強化する。自分に合った仕事がしたい」の2点を挙げている。
方向性としては間違っていないだろう。しかし具体的なイメージがまったくわかない。「生きがいとは何か」「働くことの喜びをどうしたら得られるか」「自分に合った仕事をどうやって見つけ、それに従事する道を開くか」。こうしたソフト面での「気づき」が伴わなければ、そんな政策も絵に描いた餅だ。
私はそのような「気づき」を与えるのは教育だと思っている。なるほど民主党のマニュフェストは教育政策も強調していて、中学卒業まで年31万円2000円支給される「子ども手当て」、公立高校の実質無料化、大学の奨学金の拡充など盛りだくさんだ。しかしどれも「箱」に過ぎない。中身はどうなのか、というと、何の提言もないのである。
<生の冒険は経済を動かす>
ここで発想を変えてみよう。そうだ、それは逆に「自由」を意味する。民主党は画一的な思想や教育を私たちに押し付けないということなのである。既存の保守的な価値観に縛られず、新たな価値観を自分たちで創造していけるということではないだろうか。
中国共産党政府による恣意的な経済モデルは、遅かれ早かれ破綻するしかないと私は見ている。そのとき、日本に次世代の経済モデルが定着しているかどうかだ。もしそうなら、日本は一時的に中国に追い越されることがあっても、再び中国の先を行くことになるだろう。
まずは、私たちがそれぞれ生活の糧を得る手段を確保し、幸せに生きることだ。自分のしたいことをさがす冒険へと足を踏み出そう。そこからすべては始まるのだ。民主党は死に物狂いでそれをサポートする覚悟をもってほしい。
■「全人類の中国分析2」は中国ニュースを材料に、情報を正しく解読することの大切さを伝える、あるレコードチャイナ・ライターのブログ。Livedoor Blogに掲載。
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