<レコチャ広場>日中対立の「根源」とはなにか?

Record China    2009年5月18日(月) 20時15分

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2009年5月、雑誌「同舟共進」は、中国在住の日本人コラムニスト・加藤嘉一氏のコラム「日中関係の『問題の源』はなにか」を掲載した。写真は四川省の建川博物館にある抗日戦争の英雄「中国壮士」の像。

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2009年5月、雑誌「同舟共進」は、中国在住の日本人コラムニスト・加藤嘉一氏のコラム「日中関係の『問題の源』はなにか」を掲載した。

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加藤氏は日中の衝突が外交というよりむしろ内政面に由来するものと指摘する。第一に制度の問題。頻繁な日本の首相交代は中国に「日本の政治は信頼に値せず、長期的な対日政策を策定できない」との印象を与えているという。同様に日本にも「中国の体制は不透明であり、長期的な対中政策の樹立はできない」との意見がある。そして第二に歴史問題があげられる。中国人の多くは「日本人は歴史を知らず、反省していない」と考えており、日本人の多くは「中国人は歴史問題を言うばかり」と考えている。こうした「問題の源」が互いに信頼関係を築けない現状につながっているという。

問題が内政にあるといっても外交的な解決の努力は必要だと加藤氏は指摘、そのために3つの方法を提言している。

第一に両国首脳のシャトル外交を制度化すること。現在、毎年交互に両国首脳が訪問するようになっており、日本の首相が靖国神社を参拝することさえなければこうした首脳外交が停滞する可能性は低いと見ている。

第二に頻繁かつ広範な交流を確保すること。貿易、高級官僚、社会文化、青少年などの交流を支援すること、経済と文化の交流の双方が必要だと提言している。

第三に危機管理体制の具体化。現在、日中関係が好転しつつあるなか、唯一の「不安定要素」は「突発的な事件」だという。なにかの事件が起きて一方のナショナリズムが高揚すればもう一方のナショナリズムも反発して高まり、負のスパイラルに陥る状態にある。ゆえに両国の各界関係者が危機への対応方法を確立し、政府から民間までの連絡ルートを設けることが必要だと主張した。

加藤氏は、日本と中国は今、歴史の十字路に立っており、交流、すなわち外交の重要性を認識する必要があると主張、双方の各界関係者による外交的努力が内政の問題を乗り越え、日中関係をさらに高いレベルに引き上げるものと確信していると述べている。(翻訳・編集/KT)

●加藤嘉一氏

日中関係などを主な専門分野とするコラムニスト、コメンテーター。国費留学生として、北京大学国際関係学院に03年より在籍中。各メディアやフォーラムで活躍するほか、現地中学校の日本語講師、同時通訳者としても活動する。

※本記事は筆者の承諾を得て掲載したものです。

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