Record China 2009年2月27日(金) 17時16分
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近年、アジア圏の映画作品が元気だ。アジア各国の合作映画も目立つ。写真は「DRAGONBALL EVOLUTION」のポスターに登場したチョウ・ユンファ。
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2009年02月、「このごろチャイナ・アート&A」は最近の中華圏における「アートそしてアーキオロジー(考古学)」に関する動きを、レコードチャイナの写真ニュースを軸にして紹介。不定期配信。今回は日本作品のオスカー受賞とアジアの映画界。
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22日、世界が注目する米国の映画の祭典第81回アカデミー賞で、日本の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)が外国語映画賞に輝いた。また「つみきのいえ」(加藤久仁生監督)が日本人監督の作品として初めて、同賞の短編アニメーション賞を獲得した。
「おくりびと」主演で、原作を発掘し10年以上かけて作り上げた本木雅弘さんにはそれだけで感動すら覚える。また、アニメでは02年度に「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)が長編賞を受賞したが、「短編部門でも日本アニメの底力が認められた」と評価されており、長年の映画、漫画好きの一人としてともに心からうれしい。
「バベル」の菊地凛子が第79回最優秀助演女優賞にノミネートされたばかりで「日本の俳優、作品の国際的な評価が高まっている」との声も聞かれる。
■評価高まる日本の作品と俳優たち〜そして韓流、インド、華流
さてアジア地域で映画への国際的評価や活力が高まっているのは日本で人気爆発した韓流、作品数世界一を争うインドに加え中華系の「華流」がある。今回、中華圏の作品はノミネート候補9作に入らなかったが、近年日本でも知られる華やかなハリウッド女優のチャン・ツィイー(章子怡)やコン・リー(鞏俐)らに加え、「M:I-2」のジョン・ウー(呉宇森)や、「HERO」「王妃の紋章」のチャン・イーモウ(張藝謀)ら著名監督連が世界を股に活躍している。
そうした中、先日面白い報道があった。「レッドクリフ」「葉問(原題)」「非誠勿擾(原題)」など中国で大ヒットしている華流映画の背後に「日本味」の影がみられるというのである。
「日本味」というのは英語ならJapanese Taste、つまり日本的な味わい。大ヒット作に共通してその要素があるという。「日本」という文字こそ刻まれていないが、随所に日本の要素が見られることから、「中国人にも日本文化が受け入れられつつある」と伝えられた。
それによると、若き日のブルース・リーとその師イップ・マン(葉問)を描いた映画「葉問」で音楽を担当したのは、日本人音楽家・川井憲次氏。電子音と中国楽器の融合が評価され、そのサントラ盤は音楽学校の教材にもなっている。
ご存知「レッドクリフ」では、諸葛亮孔明役を日台ハーフの金城武、音楽を岩代太郎氏が担当、中村獅童も出演している。「赤壁(レッドクリフ)の戦いを語るのは中国人であるべき」「日本の力など借りるとは」との声も聞こえるが、音楽に関連して、「西洋音楽と自国文化との融合を長きに渡って追究してきた日本に分がある」とコラムは評している。さらに、「非誠勿擾」ではロケ地に北海道が登場。音楽も「知床旅情」を大胆にフィーチャーしているという。「葉問」は一部、抗日運動を描くが、かつての中国によく見られた「愛国宣伝の道具」としての要素ではなく、「日本の姿を歪曲することなく伝えている」らしい。
ひとつ付け加えると、台湾で大ヒットし、中国当局が対台湾融和姿勢の一環として中国本土での公開に漕ぎつけた「海角七号」も日本に縁の深い映画だし、テーマ音楽も日本人によるものだ。
■映画で「アジアは一つ」進むか〜「ドラゴンボール」実写版は3月に公開
そうした中、新たな日中「合作」映画として、日本の漫画作品「ドラゴンボール」を実写で映画化した「DRAGONBALL EVOLUTION」(ドラゴンボール・エボリューション)が3月、原作発祥の地・日本で初公開される。日本人俳優はエキゾチック美女マイ役に田村英里子という程度で発祥国のファンとしては正直物足りないが、「見た目は小汚いスケベな老人」という亀仙人役に「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」などで新境地を開きつつある、日本にもおなじみの香港の名優チョウ・ユンファ(周潤發)が出ている。
興行収入49億円という「アジア映画史上最高の驚異的記録」をたたき出した「レッドクリフ」はPartIIの公開を4月に控える。これも中国の「三国志」という日本人になじみが深い古典の映画化だ。構想18年というから「おくりびと」のモックンに比肩する時間をかけ、巨匠ジョン・ウー監督が私財10億円を投じた作品の完結篇となる。
先のコラム紹介記事によると、「日本文化を取り入れることで中国映画の芸術性はさらに高まりを見せた」という評価も出ているという。今後日中交流がさらに深化すれば、かつて美術家・岡倉天心が提唱し一部からは冷笑も浴びた「アジアは一つ」という主張がまず映画という総合芸術の中で進む可能性がある。今後の、韓流も含めたフュージョン(融合)、そしてパワーアップに大いに期待する。
近年のハリウッド映画にはかつての日本の正月映画みたいな大スターだけを集めたようなものや、ワンパターンのサイコサスペンス的なものなどつまらない作品も少なくなく、しばしば手詰まり感を感じさせられる。逆にパワーがあるのは、マハラジャや登場人物が必ず「お約束」で踊り始めるムンバイ(旧ボンベイ)で製作されているインド系の「ボリウッドフィルム」だったりもする。まあ「華流」やアジア映画といっても、欧米の資本や撮影所などを活用した場合その定義には議論の余地があるかもしれないが…。
危機に瀕する金融界だけではなくアジアの映画界でも「変化」の時代が始まっている。(文章:Kinta)
■プロフィール Kinta:大学で「中国」を専攻。1990年代、香港に4年間駐在。06年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大学のコラボによる postgraduateコース(1年間)を修了。08年「このごろチャイナ」を主体とした個人ブログ「キンタの大冒険」をスタート。
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