普通の市民が犯した殺人=成長の影に潜む中国社会のきしみ―米国紙

Record China    2008年11月20日(木) 18時35分

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18日、米ニューズウィークは8月9日の米国人殺害事件について、きわめて普通の中国人が犯した殺人事件の背後には、30年間の改革開放に疲れ果てた中国社会のきしみが透けて見えると報じた。写真は殺人事件現場の鼓楼。

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2008年11月18日、米ニューズウィークは8月9日の米国人殺害事件を取り上げた記事「鼓楼の殺人者」を掲載した。きわめて普通の中国人が犯した殺人事件の背後には、30年間の改革開放に疲れ果てた中国社会のきしみが透けて見える。

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それによると、8月9日、五輪開会のわずか12時間後、唐永明(タン・ヨンミン、47歳)は北京市の観光地・鼓楼でアメリカ人1人を殺害、その後飛び降り自殺した。異常な通り魔事件では、と大きな注目を集めたが、唐をよく知る人は「普通の市民で、全く異常なところはなかった」と口をそろえる。

実際、唐の経歴は普通の中国人の歩みそのものだった。1980年代、唐は浙江省杭州市の時計工場に就職した。工場から住宅が与えられ、同僚と結婚。87年には息子も生まれたが、一人っ子政策時代を反映した「小皇帝」としてわがままに育ったという。転機が訪れたのは99年のこと。時計工場は民営化された。経営者は利潤の少ないラインを閉鎖、熟練労働者だった唐は警備員の仕事につくことになった。2003年には夫婦はともに職を失う。失業した夫婦の常ながら、2人はたびたびケンカするようになり05年に離婚した。

改革開放により中国が空前の成長を遂げる一方、激しい競争で唐と同じく苦しみを味わった人々は数知れない。中国の自殺者数は10万人あたり23人と、米国の2倍に達している。今や中国は世界でもっともストレスの多い国となっている。こうした状況において、今もなお社会主義経済時代の「鉄飯碗(国家が国民の仕事、衣食住を保証する社会)」を懐かしむ人も多い。

世界経済、そして中国経済の停滞が明らかとなった今、中国政府は巨額の資金を投じての景気対策に乗り出している。一部経済学者はGDP成長率が7.5〜8%を割り込めば労働人口を吸収できなくなり、労働争議など大規模な社会不安が発生すると予測している。すでに玩具企業の半数が倒産、タクシー運転手の暴動など危機のきざしは表面化しつつあるという。唐の物語は中国に隠されたきしみをあらわにするものだったと言えるだろう。(翻訳・編集/KT)

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