<直言!日本と世界の未来>外国語教育のさらなる充実を=英語・中国語などに小学校時代から慣れ親しむべきだ―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2017年12月10日(日) 4時30分

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旅行や出張などで海外に出国した日本人は2016年に約1700万人で、訪日外国人客は約2400万人超。「世界の共通語」である英語や「最大言語」の中国語の重要度が上昇。TOEICのデータによると、16年の主要49カ国の平均スコアで日本は41位にとどまった。

2016年に、旅行や出張などで海外に出国した日本人は約1700万人。訪日外国人客は約2400万人に達している。「世界の共通語」である英語や「最大言語」の中国語の重要度が高まっている。

ところが、TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)のデータによると、16年の主要49カ国の平均スコアで、日本は516点(満点=990点)と41位にとどまった。アジアでも、英語が公用語の一つであるフィリピンの12位はともかく、19位の韓国、22位のマレーシア、33位のインド、35位の中国などに差をつけられており、私はショックを受けた。

こういう状況下、2020年度から、大学入試センター試験に代わり、『大学入学共通テスト』が実施され、英語で、従来の『読む』『聞く』を測るテストに、『話す』『書く』が加わることになった。スピーキングが重視され、受験生が実用英語技能検定(英検)やTOEICなどの民間試験を、高校3年の4〜12月に最大2回受ける仕組みが導入される。

小学校でも20年度から、会話や歌、ゲームで英語に慣れ親しむ『外国語活動』の授業のスタートを現在の5年生から3年生に前倒しする。さらに中学校では21年度から、英語教科は原則英語で授業をするというから本格的である。

TOEICで日本を大きく引き離している韓国だが、かつては英語力が日本と同じ低レベルだった。アジア通貨危機の直撃を受けた1997年に、韓国はグローバル化による生き残りをかけ、小学校3年生から英語の授業を必修とし、英語力向上につながったという。

私は地元京都の日曜学校と教会で讃美歌を歌い、小学校の時から英語に慣れ親しんでいたので、英語は中学、高校と得意科目だった。大学も英文科に進み、米国の大学に留学した。立石電機(現オムロン)の海外担当時代に世界各国を飛び回って、販路を拡大し、製造・販売拠点を構築したが、その際に幼少のころから親しんだ英語が、大いに役に立った。経団連・国際労働委員長や海外事業活動関連協議会(CBCC=企業市民協議会)会長のほか、ILO(国際労働機関)やOECD(経済協力開発機構)の日本代表なども務めたが、これら財界国際活動でも「英語の力」に助けられたことは計り知れない。

英語を始めるのは早ければいいのかとの議論があるが、私は幼稚園や小学生のうちから英語に接し、ヒヤリングとスピーキングに慣れるべきだと考える。

2020年に東京オリンピック・パラリンピックを迎えるが、多くの外国人に混じって、子どもたちが英語会話を楽しむ姿を見たい。

もちろん英語だけでなくほかの言語でも、事情は同じであろう。特に世界で最も多くの人が話し、漢字を通じて日本人が慣れ親しんでいる中国語でも、なるべく早い時代から接する環境を整えることも考慮すべきであろう。

<直言篇32>

立石信雄(たていし・のぶお)

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC=企業市民協議会)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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