<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・五輪開幕、なぜ8月8日?

Record China    2008年7月15日(火) 6時39分

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北京五輪はなぜ8月8日開幕なのか…。ある人は「“8”は中国人にとって縁起のいい数字。条件がどうであれ、何が何でも8月8日午後8時に開幕させたかったんだ」と解説する人もいる。写真は北京オリンピックメインスタジアムの「鳥の巣」。

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北京五輪はなぜ8月8日開幕なのか…。

この時期の北京は連日40度近い“超”真夏日。おまけに雨も決して少なくなく、当日の降水確率は50パーセント近くという予想もある。こんな悪条件が重なったときに開幕日を設定するなんて、中国も「分かってないなあ」なんて声が良く聞かれる。ある人は「“8”は中国人にとって縁起のいい数字。条件がどうであれ、何が何でも8月8日午後8時に開幕させたかったんだ」と解説する人もいる。

だが、実はこの開幕日、決して中国側が好き好んで設定したわけではない。様々な要因、そして「ガイアツ」に負けて、やむなく…というのが実際のところなのだ。

当初、IOC(国際五輪委員会)が北京側に提案した開幕日は7月25日だった。しかし、7月の北京は、はっきりいってスポーツ大会には最悪の気象条件。まず一年で最も暑くなるのがこの時期であり、またほとんど雨のない北京において、この時期はなぜか降水も多い。

そこで、北京側はこの案を拒否し、代わりに「9月開幕」を提案した。9月は北京の最も気候がいい時期。雨も時折降るが、それほど大雨にはならない。実際、1990年の北京アジア大会は9月に行われた。

しかし、9月は世界的にスポーツシーズンとなっており、テニスの全米オープン、陸上グランプリなど数十年の歴史を持つ大会も多い。こういった大会を押しのけて、開催するほど、そこまでの権威は今のオリンピックにはないのだろう。これはあっさりとIOC側に拒否された。

となると、残っているのは8月開催。北京側はここで“最後の要望”として「8月15日以降にしてほしい」と申し出た。「暑さ寒さも彼岸まで」と言う言葉が中国にあるかどうかは分からないが、北京も15日を過ぎるとだんだんと暑さも和らぐ。大会後半に予定されるマラソンの頃には、もうすっかり秋の風が吹いてくる…という計算だ。

だが、北京側のこの切望にIOCはウンと言わなかった。ここで登場するのは、五輪に最も影響力があると言われる米国放送界の意向。というのも、8月中旬以降の開幕となれば、どうしても9月上旬に差し掛かってしまう。9月初頭にはNFLが開幕するし、またメジャーリーグも地区リーグが大詰めを迎える。何としても「8月中」に、全て「事を終えてほしい」というわけだ。

結局、IOCは8月8日の開幕を提案。中国側もこれを飲まざるを得ず…晴れて?真夏の「厳しい気象条件」となる8月8日開催が決定したというわけである。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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