「私の願いは授業中に突然死ぬことだ!」、日本人教師の言葉に慌てた―中国人学生

日本僑報社    2017年11月12日(日) 13時0分

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「生と死」については、国や宗教、民族、人によってもさまざまな価値観の違いがあるだろう。東莞理工学院の劉権彬さんは日本人教師との会話の中で、死についての考え方が変わったようだ。

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「生と死」については、国や宗教、民族、人によってもさまざまな価値観の違いがあるだろう。東莞理工学院の劉権彬さんは日本人教師との会話の中で、死についての考え方が変わったようだ。以下は、劉さんの作文。

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毎年、新しい葉っぱが出てくるのを見かけると、私は必ずおばあちゃんのことを思い出す。

あの日、私はおばあちゃんの「早く起きなさい」という声を夢心地で聞いた。私が目を開けると、おばあちゃんは、「公園に行こう」とにこにこしながら言った。私は「せっかくの週末なのに、どうしてこんなくだらない理由で起こされたのか」と思ったけど、結局何も言わず、おばあちゃんと一緒に公園に行った。

公園には、春が近づいていた。おばあちゃんは機嫌がよさそうだった。新しい葉っぱを見て、おばあちゃんは「つぼみが開いて、花が咲いて、ちょうちょと鳥が飛んで、春はいいな」と言った。私は「ただの春だろう。春は毎年来るから、大したことじゃない。それに、冬が来たら、全部枯れるんだ」と文句を言った。すると、おばあちゃんは笑って、何も言わないでずっと木の葉を見ていた。「僕、帰る」と怒ったように言って、友達の家に遊びに行った。この時が、私が見た最後のおばあちゃんの姿だった。

その夜、外から家に帰ると、父が切ない顔をして私に「おばあちゃんが脳卒中で入院した」と言った。私はあまりの驚きに声も出なかった。「もしかして、今朝僕がおばあちゃんの気に障るようなことを言ったせいか」と自分を責めた。二日後、おばあちゃんは亡くなってしまった。人の死は、いつもテレビの世界だけにあると思っていたので、突然身近な人が世の中から消えて、私は死を非常に恐れるようになった。ちょうどその頃は大学の入学試験の最中で、結局考えてもいない大学の、しかも日本語科に入った。

私が教わった日本語教師の入江先生はとても愛想がよくて面白い人だ。それに、彼は完璧主義者であり、汗っかきでもある。だから、夏にはいいイメージを保つために、紳士らしい優美な振る舞いで汗を拭きながら、授業をする。彼は時々、我々男子学生を誘って飲みに外へ出る。そして、ある飲み会での先生の教えが私を変えた。

入江先生はお酒を飲みながら、私に「お前は外見は気さくなのに、どうしてこんなに陰気なのだ」と聞いた。確かに、私はおばあちゃんが亡くなった後、気持ちが暗くなって、大好きなパーティーにいっても、テンションが上がらなかった。昔の陽気な私に戻れればよいけれど、そんな気にはなれなかった。でも、その時は先生に、私は思わずおばあちゃんのことを話してしまった。

先生は私の話を聞いた後、酒の瓶をそばに置いて、「あのな、冬のおかげで、古い葉っぱは土の上に落ちて、それで、その土はその葉っぱの栄養をもらってどんどん肥えた土になるんだよ」と言った。私は先生の葉っぱの話に聞き入った。命は枯れても、他のものに得をもたらすということか、と考えていると、「お前は私の願いを知っているかい?」と先生が汗を拭いながら聞いた。「私の願いは授業中に突然死ぬことだ。そして、お前ら男の子が私を運んで近くの湖に投げるんだ」。中国人は自分から死について話すのを嫌がるので、私は慌ててなぜそんな話をするのか聞いた。すると先生は「日本人は死を恐れないよ。日本は地震が多いから。だから、日本人は自分が後悔しないように毎日を生きているんだ」と笑いながら言った。

その瞬間、私は、ぽっと明るくなった。私にとっては、日本人は死についての見方が「斬新」だ。日本人は死そのものは怖くない、怖いのは生きることに消極的なことだ。どうしてあの日おばあちゃんは私に葉っぱのことを言ったのだろうか。きっと当時入学試験で意気込みのない私に、葉っぱのように若々しく生きてほしかったのだろう。

「明日郊外へピクニックに行こう」と先生がお酒を飲みながら言った。私は元気があふれて、「はい」と大声で叫んだ。郊外の湖、きっと綺麗だろう。(編集/北田

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、劉権彬さん(東莞理工学院)の作品「郊外の湖は、きっと綺麗だろう」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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