Record China 2008年7月11日(金) 6時54分
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中国サッカーで、残念ながら、もう「珍しくもなくなった」暴行事件がまた発生した。だが今回、少し穏やかではないのが、あの“やんちゃ”な五輪代表ではなく、ラフプレーの国家代表でもない。女子サッカーの国内選手権だというから驚いた。写真は03年のユース選手権。
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中国サッカーで、残念ながら、もう「珍しくもなくなった」暴行事件がまた発生した。
だが今回、少し穏やかではないのが、あの“やんちゃ”な五輪代表ではなく、ラフプレーの国家代表でもない。女子サッカーの国内選手権だというから驚いた。
中国湖北省武漢市で4日に行われた全国女子サッカーユース選手権の北京市代表vs河南省代表の試合中、双方の選手ら40人が殴り合いになるという事件が発生した。中国の新聞、インターネットメディアが伝えた。
各メディアの報道を総合してみると、こうだ。
この「暴行事件」が発生したのは武漢市内で行われたU18の全国選手権。3箇所に分かれて行われた試合のうちの一つが北京代表と河南省代表の対戦だった。
試合は、開始当初から、「一触即発ムード」が漂っていたということだが、それほど大きな反則もなく、試合は進んでいた。
前半の中ごろ、北京代表の一人が攻撃の最中、シュートを打とうとしたときに、河南省の選手を蹴ってしまい、反則をとられた。この際、両選手が二言、三言、やりあったあと、突然、河南代表の選手に殴りかかったという。そして、この瞬間、双方のベンチから控えの選手たちが飛び出して加勢。ペットボトル飲料や靴、レガースを互いに投げ合うなど、もみ合いになった。双方のコーチ陣が仲裁して、何とか騒ぎは収まったそうだが、このもみ合いの時間について、あるメディアは「10分あまり」と伝え、あるメディアは「10秒ほど」と伝えるなど、かなりの開きがある。
この二人に対してレッドカードが出て、試合は続行。結局、このあと北京が2点をもぎとり、2−0で試合をものにした。
この「暴行」の一部始終は北京体育大学の職員がユース育成の資料のため、映像を撮影しており、これを証拠として、中国サッカー協会は厳重な処罰を検討しているという。事件の発端となった二人の選手に対しては、試合出場停止1年程度の厳しい処置が下るだろうといわれている。
さて、「暴行事件」の理由はまだはっきりとはしていないが、一昨年、河南省のこの年代のチームは北京に0−6の大差で破れたことから、北京代表を非常に意識していたという。また去年も河南省は敗れたため、「負けたくない」という気持ちが高まり、この「暴行」を招いたのではという見方が一般的だ。なお、事実関係は報道により、違いがあり、その後当局が「当初の報道ほど“ひどくはない”」とコメントするなど、事件の全体像は見えていない。
ただ、いずれにしても「選手間の殴打」と乱闘騒ぎがあったのは事実のようだ。
近年、その「素行」が問題視されて止まない中国サッカー。つい先ごろも、男子リーグで騒ぎがあり、悲しいことに、こういった「暴行事件」もあまり珍しくなくなってきた。そして、一国のサッカーの集大成である国家代表や五輪代表が世界の表舞台で、ラフプレーをはじめとする受け入れがたいプレースタイルを見せ、非難されたのは記憶に新しい。
ユースの、しかも女子の国内リーグがこの状況では…
こういった「事件」が頻発すれば、2010年W杯出場を早々と逃し、冷め切っている国内のサッカー熱をもっとどん底に追いやることになりかねない。中国のサッカー人たちは、この状況をどう立て直していくのだろうか。
<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>
■筆者プロフィール:朝倉浩之
奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。
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