曽賀 善雄 2017年10月10日(火) 5時10分
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中国現地のマーケットを開拓することを目的に事業を行っているのであれば、ことさら言われなくても、「業容を大きくする」ことが与えられたミッションであろうと思います。資料写真。
中国で起業をした場合は別にして、日本本社から派遣されて中国で駐在をしている日本人社員は大きく分けて2種類。一つは現地に根ざして、与えられたミッションを果たし、事業を成功させようと日夜努力するタイプ。寝ても覚めても仕事のことばかり考えています。もう一つは、どうせいつかは日本に帰国するのだから、駐在期間を無難に過ごせばいいと考えるタイプ。業績を拡大するようなリスキーなことよりも、維持することを考え、夜はカラオケ、土日はゴルフ、と駐在員生活を満喫。中国現地での事業が成功するのはもちろん前者だ。
【現地を理解していない本社の方を向いてどうする】
中国現地のマーケットを開拓することを目的に事業を行っているのであれば、ことさら言われなくても、「業容を大きくする」ことが与えられたミッションであろうと思います。であるならば、それを実現するために目の前の市場に目を向け、そこに会社の人材と財務状況に応じたお金を投下し、マーケットを開拓することになります。そして、そのリーダーが総経理です。
しかしながら、残念ですがというか当然なことというか、日本本社は現地の状況がよくはわかっていません(本社が中国現地のことをよくわかっていないのはやむを得ないことです)。そこで、現地マーケットを開拓するミッションを持った総経理が、現地マーケットをわかっていない日本本社側を向いていたのでは、中国ビジネスで成功できるわけがありません。さらに、そんなことをしていると、現地社員からの支持は表面的なものに終始してしまい、心底からの支持協力は得られないと思います。
【人として】
そもそも、総経理である自分はいったい誰のおかげで勤まっているのか?それは紛れも無く、部下たちが支えてくれているから、です。であれば、彼らの方を向いて仕事をすべきであることは明らかです。何せ、彼らの向こう側には多くの顧客がいるのですから。
ここで一つ、問題は総経理とはいえ所詮はサラリーマンということ。本社から派遣された社員であり、往々にして「本社を向いて」いた方が、現地を向いているより“出世”する可能性が高いという現実です。
現地を向いていたほうが業績は上がると思いますが、しかし業績と出世度合いは必ずしも一致しないのが、日本の抱える矛盾ではないでしょうか。本社の言うことをよく聞く「愛(う)いやつ」は上から好かれるのですよね。
【中国ビジネス成功には勇気と覚悟】
ということで、本社を向かないということを実行するには勇気と覚悟が要ります。何といっても給料は本社から出ているのですから。それには本社に有無を言わせないくらい、現地会社としての立派な業績を上げることが必須です。それをやりさえすれば本社を向く必要はありません。
私はそう考え、現地の市場や社内の状況に合わせて運営方針を自分で考え、皆のやる気を引き出し、他に自慢できるほどの業績を残しました(そう自負しています…)。むしろ、「学歴」や「バック」、本社経営層とのつながりも何もない方が、腹をくくることが比較的自然にできるのかもしれません。
【本社から与えられたミッションを果たすためにこそ、本社の方は向かない】
現地のマーケットや社員の方を向いて努力すれば、業績が上がります。業績が上げれば、本社からのミッションを果たしたことになりますから、本社は評価をせざるを得なくなります。「駑馬(どば)」でも努力すればサラブレッドと同じように道が開け、生き残れる原理です。
若いころ「常在戦場」と教えられましたが、常に現場でマーケットの開拓という闘いの中にいる私には「上」のご機嫌を気にする余裕はありませんでした。
現地で中国事業を成功させたいのなら、日本本社の方を向かずに目の前のマーケットを見よ。出世をしたいのなら現地のマーケットや部下社員を見ずに、日本本社に従順であれ。
選ぶのは自分である。
■筆者プロフィール:曽賀善雄
1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。
■筆者プロフィール:曽賀 善雄
1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。ブログはこちら
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