中国の省別GDP目標、2018年は昨年に比べて「悲観的」な傾向―中国メディア

Record China    2018年1月26日(金) 12時50分

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中国の各省が発表する2018年の経済成長の目標について前年よりも小さな数字を示す例が目立っている。写真は武漢の下町。

中国各地で省クラス行政区(省・中央直轄市・民族自治区。以下、省)の人民代表大会が開かれている。中国における地方議会だ。同大会で発表される省政府による「工作報告」では、2018年の経済成長(省内総生産=GDPの上昇率)の目標について前年よりも小さな数字を示す例が目立っている。

中国メディアの中国新聞社は25日、同時点で確認できた12省の省政府工作報告における経済成長の目標を紹介した。2017年に発表された経済成長目標と比較して6省が目標を引き下げた。

17年に「8.5%前後の成長」を掲げた安徽省は「8%前後」、同「8%前後」とした湖北省は「7.5%」、同「7.5%」とした甘粛省は「6%前後」、同「7.5%」とした内モンゴル自治区は「6.5%前後」、同「11%以上」としたチベット自治区は「10%以上」と目標値を引き下げた。

表現を微妙に変更したケースもある。新疆ウイグル自治区の場合、2017年の成長目標は「7%以上」だったが、18年は「7%前後」とした。河南省も17年には「7.5%以上」だったが、18年は「7.5%前後」とした。

中央直轄市である天津市の場合、2017年には8%成長の目標を掲げたが、実際の成長率は3.6%の成長だった。2018年の成長目標は5%とした。

中国新聞社は、中央政府が実施した中央経済工作会議で、「高品質の指標体系の構築を急ぐ」との方針が改めて示されたことが関係しているとの見方を紹介した。各省の指導層に対して、経済成長率という「量」の向上よりも、「経済構造の質」の改善を問う方針が強まったことが、経済成長率の目標設定に影響しているとの見方だ。

中央経済工作会議では、共産党中央や中央政府が、2010年ごろまでの経済の高度成長はもはや期待できず、経済の構造改革に活路を求めるしかないとの方針を改めて示したものと理解できる。それに伴い、各省政府も成長率の目標について「悲観的」な数字を掲げたとの構図だ。

省政府が掲げた成長率目標については、それ以外にも習近平政権が経済統計の「水増し」に対して厳しい見方をしていることが影響している可能性がある。

中国では長年にわたり、各省が発表するGDPの合計が中央政府・国家統計局が発表する全国のGDPを大幅に上回る異常な状態が続いてきた。これまでにも問題視するメディアの報道は多く、「原因として全国規模で活動する企業による数字は本社所在地のGDPに計上せねばならないが、事業所がある省がそれぞれ計上する場合がある」「省のGDPは省内の市、市は市内の鎮などのGDPを積み上げてGDPを算出するが、小さな行政区における水増しが存在する」などの原因が指摘されてきた。

内モンゴル自治区の場合には、これまでに発表されたGDPや省政府の財政収入に大幅な水増しがあったとして、区都のフフホト(呼和浩特市)と包頭(バオトウ)市での地下鉄建設計画を停止すると発表された。それ以外にも、遼寧省、雲南省、湖南省、吉林省、重慶市で、2017年第3四半期(7−9月)までに経済指標の水増しがあったと指摘されている。

中国の地方政府や地方の共産党支部(地方委員会)の上層部は、1つの地方で長年にわたり仕事をするのではなく、各地を次々に転任していくことが一般的だ。これまでは、「前任地の仕事についての責任は問われない」ことが多かったが、現在は「過去の赴任地での不正行為の責任を問う」方式に切り替えられている。

従って、経済統計で水増しを行えば、異動後に責任を厳しく追及される可能性が高まったと考えてよい。これまでのように、「過大な目標を設定し、実績が伴わなかった場合には数字をごまかす」といった方法は通用しにくくなったと言える。

中国新聞社の記事の後に発表された2018年の経済成長目標でも、2017年には「7%前後」とした河北省が18年には「6.5%」、17年には「7%以上」とした浙江省が18年には「7%前後」とするなどの例が続いている。(翻訳・編集/如月隼人

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