中国の旅行情報サイト「マーフォンウォー」（※1）と世界最大のビジネス向けSNS、LinkedInは中国のホワイトカラーの旅行事情に関する研究レポートを発表し、「彼らの生活にとって旅行は欠かすことのできない重要な要素になっている」と指摘した。

▼ホワイトカラーの平均旅行回数は年2．8回

中国では2008年、1年以上勤務した従業員に5日以上の有給休暇を認める「休暇条例」が施行された。現在の一人当たりの付与日数は平均9．7日。この制度を使って世界各地を旅行するホワイトカラーも少なくないが、昨年の休暇取得状況は「有給休暇を使い切った」という人が67％。「使い切っていない」と答えた人が最も多かった都市は上海（全体の37％）で、広州は29％、北京は28％だった。最も休暇が取れていない業界は金融業界だった。

一方、ホワイトカラーの年間の平均旅行回数は2．8回、出張は4．7回という結果が出た。頻度別で最も多かったのは旅行が年1-2回、出張が年3-4回。出張中に個人的な旅行を計画する人が50％近くおり、特にその傾向が顕著だったのが不動産業、金融業、機械製造業だった。また、長期休暇のある教師などが最も旅行に行きやすいと考えられているが、実際の旅行回数が最多だったのはビジネスサービス業に従事するホワイトカラーの年平均3．8回だった。

▼ホワイトカラーは旅行中も仕事

多くのホワイトカラーの旅行回数は年1-2回だが、旅行中に仕事から完全に離れるという人は少ないようだ。「旅行中は仕事の情報を完全にシャットアウトする」という人はわずか12％で、スマートフォンを使って業務を処理したり、電話会議に参加するという人は64％、「仕事のためにモバイルパソコンを持参することもある」と答えた人は41％いた。

ただ、仕事で認められたことが旅行に行くきっかけにもなっている。レポートによると、「旅行に行く理由」として1位になったのは「祝日だから（79％）」、2位が「旅行に適した季節だから（63％）」で、「昇進したから（47％）」は3位だった。4位以下は「特に理由はなく、行きたいと思ったから（40％）」、「記念日だから（32％）」、「転職、退職したから（29％）」、「結婚したから（8％）」の順。また、旅行の主な目的としては44％の人が「いつもと違う風景を見ること」と答え、「現地文化の体験」は27％、「旅行先の歴史を知ること」は26％、「ショッピング」は2％だった。年齢別では1990年代生まれのホワイトカラーの6割が「いつもと違う風景を見ること」と回答。年齢やポスト、収入が上がるにつれ、歴史に興味を持つ人が多くなるという傾向が見られた。

▼旅のパートナーは家族

ホワイトカラーが挙げた「よく一緒に旅行に行くパートナー」で最多となったのは家族（33％）だった。2位以下は恋人・配偶者（28％）、友人（15％）、同僚（12％）の順で、同僚と答えた人の比率は「一人で旅に行く」と答えた人と同じだった。

このほか、旅行に関する情報でホワイトカラーが最も注目しているのは「特価情報」と「旅先の攻略方法」であることも判明。職場で空いた時間を使って旅行計画を考えるという人は65％、出発前にさまざまな情報を入手して入念な計画を立てるという人は54％に上った。

移動手段となる航空機に関しては、「運賃を重視する」という回答が最多の55％、「快適さを重視する」が次に多い39％。一方、ホテルについては「快適さ重視」が51％、「料金重視」が46％だったほか、ホテルの位置は40％、施設の便利さは32％、ホテルのブランドは30％、顧客サービスは29％だった。

▼グルメとスリル満点のアクティビティでストレス解消

かつて「爆買い」という言葉を生み出した中国人旅行者だが、旅先におけるストレス解消法としてホワイトカラーの57％が「グルメ堪能」、53％が「パラシュートやバンジージャンプなどのアクティビティ」を挙げている。これまで上位3位に入っていたショッピング（35％）はヨガやジョギングなど（47％）に次ぐ4位。「瞑想（めいそう）にふける」は5位（31％）だった。

また、「1年以内に行ってみたい海外の目的地」上位5位は米国、タイ、ニュージーランド、日本、フランスの順。旅の思い出の残し方としては「旅行中に手帳やノートにメモ」が最多の61％、次に多かったのが51％に上った「旅行が終わった後に旅行記を書いて他の人とシェア」で、「旅行中にたびたびSNSに投稿する」は47％、「旅行が終わった後に写真を整理する」は42％だった。（提供/Bridge・編集/Asada）

※1：「マーフォンウォー」の漢字表記は「●蜂窩（●＝虫偏に馬）」