<このごろチャイナ・アート&A><解説>「中国音画」と「清明上河図」

Record China    2008年5月24日(土) 11時19分

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北京の故宮博物院が所有する至宝の巻物「清明上河図」を題材に作曲された二胡独奏とオーケストラによる新作「中国音画」。今後、北京五輪、上海万博でも重要な公演作品として発表されるという。 写真は06年撮影の故宮。

「中国音画」というのは耳慣れない言葉だが、主催者によると、北京の故宮博物院が所有する至宝の巻物「清明上河図」を題材に「中国が威信をかけて」作曲した中国楽器二胡の独奏とオーケストラによる新作。今後、8月からの北京五輪、2010年上海万博でも重要な公演作品として発表されるという。絵を題材にして音楽を重ねる手法は西洋音楽では「展覧会の絵」などを想起させるが、そこに中国を代表する二人のダンサー(チン・ペイイ=沈培芸とリュウ・シャオ=劉宵)の踊りと、背景のディスプレイへの映像投影などを合わせた情緒あふれる野心作にでき上がっている。

「清明上河図」は、中国の北宋時代に流行した画題で、この時代の「清明節」(掃墓節=墓を清める日)の街の様子を描いたもの。特定の絵画の固有名詞ではなく、現在、北京のほか、台北の故宮博物院、米メトロポリタン美術館のほか日本(林原美術館と妙覚寺 =岡山市の 2点)も含め世界に約70点が現存するという。

北京の作品は、宮廷に献上されたが元代に民間に流出し、幾多の変遷を経た上で、戦後、人民解放軍により政府に没収されたと伝えられている。中国では教科書や世界史の資料集に掲載され、海外観光客もこの巻物の模写を土産に買うことが多いそうだ。

「清明上河図」を保有する日本の林原美術館ではちょうど、江戸時代初頭の京都市中や郊外における市井の人々の様子などを描いた「洛中洛外図」という作品があるが、この手の美術品からは製作当時の生活ぶりをうかがうことができる。日中にとどまらず、インドでもムガール朝を中心として宮廷の様子や重要イベントを記録する目的から細密画が多数描かれ、現代的感覚の写実表現ではないものの、貴重な資料・史料と評価されている。

(文章:Kinta)

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