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中国では、独身者の増加につれて、女性だけに限らない「お一人様経済」が盛んに興りつつあり、経済成長と産業構造の転換にさらに多くのチャンスを提供している。
中国では、独身者の増加につれて、女性だけに限らない「お一人様経済」が盛んに興りつつあり、経済成長と産業構造の転換にさらに多くのチャンスを提供している。
▽住宅から家具まで 独身者が生みだす新たなニーズ
住宅の質にこだわる独身者のために、「自如」や「楽乎」といった多くの賃貸物件ブランドが「独身者用マンション」を打ち出している。例えば、不動産大手である万科の傘下にある独身者用マンションブランドは近年、北京や広州や成都などの10都市で事業を展開している。提供されるマンションのほとんどは面積が15−40平方メートルで、備え付けの家具があるため、すぐに入居することができる。部屋のインテリアもぬくもりを感じさせ、シンプルでフレッシュさをメインにしている。
同ブランドの担当者は、「独身者は皆一人住まいを楽しむのと同時に、一定の社交へのニーズもある」としており、同マンションには各フロアに公共エリアが設置され、住人たちはここで一緒に映画やテーブルゲーム、おしゃべりを楽しむことができる。
また、家具市場においても、「独身者旋風」が起きている。これまでヒット商品だった「両開きドア大容量冷蔵庫」や「1.8メートルのキングサイズベッド」に代わり、「1リットルのミニ炊飯器」、「ミニテーブル」や「ミニオーブン」が人気を集めるようになっている。
ネット通販サイトのタオバオのショップオーナーである陽平氏は、「独身者は小さい家具を買って幸福感を向上させる」としており、彼は都市部の独身者の多くが質の高い教育を受けているため、日常生活においてディテールの美しさを追い求めており、彼らのニーズは製品の質ではなく、製品の使いやすさや外見の美しさにあると指摘した。
▽メンタル面でのパートナーを必要とする独身者たち
自分のために花束を購入することは、すでに都市部の独身女性の習慣的消費となっている。そしてこれも新しいビジネスチャンスを生み出している。2015年に登場したネットにおけるフラワー販売ブランド「花点時間」は、ユーザーに毎週異なる花束を届けてくれる。
「花点時間」の調査によると、花束を注文するユーザーのうち、女性がその78.8%を占めている。そのうち、自分自身のために花を購入している女性の割合は53.5%。
同サイトの担当者によると、若者の収入が高くなると、消費への要求は「生存」から「精神的ニーズ」に変わるということで、花束を好む女性は生活の特別さを重んじ、雰囲気を演出する商品を買いやすい傾向があるとしている。「花点時間」はそんなユーザーの精神面におけるニーズを重視し、毎週にテーマが異なる商品を打ち出しているのだという。
▽専門家:自発的な独身者は「単体」でありながら「社会的」
国家民政局のデータによると、中国の独身人口は1990年の6%から2013年の14.6%に上昇。2015年末には独身者数がすでに2億人に達している。オンライン旅行サイトの携程網が発表した「2016年独自旅行報告」によると、独身旅行者の数が旅行者総数に占めた割合は2014年の8.3%から2016年の15%に上昇し、そのうち女性は6割、年齢は19歳から30歳までのケースが多いということがわかった。
上海社会科学院青少年研究所の楊雄所長は、「経済レベルが向上した後、人々の価値観も変化し、結婚や金儲けを一番重要だとする考えから、個人の夢を求めることをより重要視するようになった」と指摘している。
独身者の増加は産業革新やモデルチェンジにより多くの可能性を提供している。楊雄所長は、その例として、「自動車業界では、安くて省エネの一人用の小型自動車の人気が高まりつつある。ほかには、独身者は家事に時間を費やすことを嫌うため、フードデリバリーサービスや家事代行サービスを発展させている。現在、中国では独身現象が現れており、今後はこれが独身貴族現象に、最終的には独身社会現象となる」と述べた。
さらに楊雄所長は、「『お一人様経済』には二つの核心がある。一つは『単体』、もう一つは『社会的』。若者の個人的な能力の高まりとともに、プライバシーや独立性への要求が大いに高まり、独身の状態を好むようになる。だが一方で、人間は社会的動物であるため、彼らには社交的なニーズもある」としている。
そして楊雄所長は、「お一人様経済」を発展させるには、独身者の年齢や性別などに対し、細かな区分をしていくことが必要だとした。(編集HQ)
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