如月隼人 2017年8月4日(金) 15時30分
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中国では7月、道路などの陥没が通常時より多く発生した。都市部での道路は多くがアスファルト舗装されているため、地下の空洞が大きくなってから路面が突然に陥没する危険な事故が続いている。写真は7月29日に西安市で発生した路面陥没。
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中国では7月、道路などの陥没が通常時より多く発生した。水道管や下水管が破損して、漏れた水が周囲の土砂を押し流して発生する陥没事故がもともと多い上に、各地で大雨が続いたことから雨水や地下水が増加したことも影響したと考えられている。都市部での道路は多くがアスファルト舗装されているため、地下の空洞が大きくなってから路面が突然陥没する危険な事故が続いている。
【その他の写真】
以下は、7月1日から29日までに発生した主な陥没事故。各事故を紹介する文章の後は、報道した主なメディアを添えた。
・7月1日
江西省南昌市の道路管理部門のスタッフが、洪都中大道で路面3カ所が陥没しているのを見つけた。大型車の通行が多いため路面が破損して一部が沈降し、地中に敷設されている各種の管も破壊されていたことが分かった(中国江西網)。
・7月3日
広東省仏山市の道路管理部門は午前7時半ごろ、市内の翠北路で陥没が発生しているとの通報を受けた。調べたところ、路面が約3平方メートルにわたり陥没していた。午後3時ごろには中央大街で陥没が発生しているとの通報を落ちた。調べたところ、路面が約4平方メートルにわたり陥没していた。中央大街の陥没は6日までにさらに増えた。地下に敷設している雨水管に損傷が発生し、周囲の土砂を押し流したと考えられている(金羊網)。
福建省福州市高新区で、道路の一部が陥没を始めた。日を追うに従い陥没個所は広がっていった。深さは1メートル以下だが、9日までに陥没の範囲は直径10メートルに広がり、水道管が「爆裂」して水を吹き上げるなどの事態になったため、現場周辺への供水は止められた。市当局は9日の時点で、本格的な補修作業には10日に着手するとの考えを示した。現場周辺の道路は20日間程度閉鎖される見込みという(海峡網)。
・7月5日
北京市朝陽区の道路に直径1メートルほどの陥没が発生した。補修作業を始めたところ、地下に大きな空洞が存在することが分かり、周囲の舗装が取り除かれるなどで穴の直径は10メートルほどになった。深さは1、2メートルほど。作業関係者によると、穴が開いた原因は地面の陥没、雨水の滲出、土が十分に固められていなかったなどが考えられるという。同陥没でけが人は出なかった(新京報網)。
広西チワン族自治区南寧市内の住宅地で地面の陥没が発生。15、16日にもすぐ近くで陥没が発生した。陥没個所は小さなものでも直径8メートル、深さ6メートル程度。地中に敷設された排水管の接合部分から水が漏れ、周辺の土砂を押し流したための見られている(広西新聞網)。
・7月7日
山東省青島市内で午前5時半ごろ、大型トラックが通過した直後に道路が陥没した。穴は長さ4メートル、幅2メートル程度に広がり、地中から水がわき出した。敷設された直径1メートルの水道管から水が漏れ、地中に空洞を形成していたと考えられる(半島網)。
・7月8日
安徽省合肥市内の潜山路と清渓路の交差点で午後10時ごろ、「ドーン」という巨大な音とともに道路が陥没して大穴が開いた。大きな音に驚いて現場に駆け付けた近隣の商店主もいる。報道写真によると、穴の直径は10メートル以上ある。内部は複雑な形状の空洞だが、深い部分は10メートル近くありそうだ。交通量が比較的多い交差点だが、転落した人や車両はなかったと見られる(中安在線)。
天津市内の咸陽路と芥園西道の交差点で昼ごろ、直径約2メートルにわたり路面が陥没した。陥没個所は道路中央部分で、警察官が警告板を置いて車両が乗り入れないように注意を促した。穴の深さは約1.8メートルで、市当局が午後11時ごろまでに補修を終えた(天津北方網)。
江蘇省宿遷市で8日早朝、道路が突然に陥没し乗用車と電動バイクがそれぞれ1台、穴の中に落ちた。陥没個所は約10平方メートルで深さは約2メートル。下水管が破損して周辺の土砂を少しずつ押し流して空洞が発生し、最近は大雨が続いたので雨水も流れ込むなどで空洞が広がったとの見方が出た(現代快報)。
・7月11日
湖南省懐化市で正午ごろ、道路が長さ4.5メートル、幅4メートルにわたって突然陥没した。目視により深さは1.7メートル程度と推測された。市当局は12日午前、陥没地点から100メートルの範囲を進入禁止として、電気伝導度を用いた方法による地下の空洞の状況の測定に着手した(紅網)。
・7月13日
山東省イ坊市(「イ」はさんずいに「維」)で同日までに、市内の四平路と福寿東街の交差点付近の歩道の敷石の欠落部分の下に、深さ1メートルほどの空洞ができていることが分かった。現場をよく通る人によると、11日の時点では敷石の欠落はなかったはずという。歩道の下に空洞ができていた原因は伝えられていない(イ坊新聞網)。
・7月14日
遼寧省瀋陽市内で14日午後5時ごろ、道路が広い範囲にわたって突然陥没し、駐車中の自動車が少なくとも2台転落した。乗っていた人はいなかった。現地は大雨で、一時は雹(ひょう)も降ったという。陥没の原因は明らかにされていないが、穴の中では大きな音を出しながら大量の水が流れていた(遼一網)。
・7月16日
天津市河東区内の道路で午前3時ごろ、亀裂が生じて大量の水が噴出した。直径1.2メートルの水道本管の「爆裂」だった。水道関係者が近くの栓を閉じたため水の流れは止まったが、周辺の道路が直径7、8メートルに渡り陥没した(天津北方網)。
・7月18日
河南省濮陽市で18日午後1時半ごろ、道路に突然、大きな陥没が発生した。現場では大雨のために道路が冠水しており、路面の水が滝のように陥没した穴に流れ込んだ。人や車両の転落はなかったとされる(看看新聞)。
・7月19日
中国メディアの大衆網などは同日付で、山東省棗荘市郊外の農村部の民家中庭で巨大な陥没が発生したと伝えた。穴の差し渡しは最大で10メートルほど。穴は徐々に広がり、周辺の壁には亀裂が走った。住人によると、かつて操業していた炭坑の通風孔が近くにあったという。陥没部分の底には、横に続く穴のようなものが見える。同陥没で、中庭で飼っていた鶏数羽が穴に落ち行方不明になった。
・7月23日
午後4時ごろから約20分間にわたり猛烈な大雨に見舞われた陝西省楡林市では、市街地の道路の多くが冠水すると同時に、亀裂状の陥没が発生。自動車数台が飲み込まれた。(中国新聞社)。
・7月24日
北京市三環路の聯想橋付近で午前7時ごろ、前日から補修作業をしていた比較的小さな陥没の穴が突然、広がった。1車線を占めるほどの大きさになり、深さは3、4メートになった。作業関係者によると、地下に敷設されていた汚水管からの漏れで、土砂が大量に押し流されていたという(千龍網)。
広西チワン族自治区北海市で午後6時半ごろ、直径約3メートル、深さ約4メートルの陥没が発生。目撃者によると「ドン!」という音とともに、路面にいきなり大穴が開いた。転落した人や車両はなかった。陥没の原因は大雨が続いて勢いが強くなった地下水が道路下の土砂を押し流したためとされた。同時点までに北海市における道路陥没は大小13カ所に達した(広西新聞網)。
・7月25日
北京市内の西二旗大街と西二旗中路で午後9時ごろに路面が陥没。穴は直径7、8メートルの円形で、乗用車1台が転落した。3人が乗っていたがかすり傷程度で、午後11時ごろまでに救出された(中国新聞社)。
・7月26日
山西省太原市で、同市メインストリート・迎沢大街の大南門付近で午後5時半ごろ、車道が約50平方メートルにわたり陥没した。地中に敷設された水道管が断裂して水が噴出したため、現場周辺への供水が停められた。陥没の原因は明らかにされていないが、現地では強い雨が降っていたという(中国新聞社)。
・7月28日
陝西省西安市内の建設工事現場で午後10時ごろ、地面が陥没。隣接するマンション建物が危険な状態になったとして、管理会社は住人全員を避難させることにした。すでに寝ていた住人が29日午前3時ごろになってノックと大声で起こされた事例もあるという(華商網)。
陝西省西安市で午後1時ごろ、クレーン車が前日の暴風雨で倒れた街路樹の作業をしていたところ、路面が陥没して転落した。陥没部分は長さ約5メートル、幅は広い部分で1メートル前後、深さは約4メートルだった。倒れた街路樹は停車中の乗用車にのしかかったが走行は可能だったので、クレーン車が街路樹を持ち上げて乗用車が発進した直後に路面が陥没した。同陥没で死傷者は出なかった(華商網)。
・7月29日
陝西省西安市の鳳城五路で午前10時ごろ、食品デリバリーの電動バイクが通行していたところ、路面が突然に陥没した。陥没部分は縦横2、3メートル前後。中国では「電動バイクが道路を押しつぶした」などと、道路陥没の多さを皮肉るような書き込みが寄せられた。陥没の原因は調査中とされた(兵馬俑在線)。
■筆者プロフィール:如月隼人
日本では数学とその他の科学分野を勉強したが、何を考えたか北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。
1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。 Facebookはこちら ※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。 ブログはこちら
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