中国がフィリピン人の家事労働者受け入れへ、最低賃金は月額20万円以上か―比メディア

Record China    2017年8月1日(火) 17時30分

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フィリピンのセイ労働副大臣が自国民の家事労働者の受け入れについて、中国側と協議していることを明らかにした。最低賃金は月額約22万円程度の方向だという。資料写真。

フィリピンメディア「フィリピン・スター」は7月31日、同国のセイ労働副大臣が自国民の家事労働者の受け入れについて、中国側と協議していることを明らかにしたと報じた。最低賃金は月額10万フィリピンペソ(約22万円)程度の方向だという。

セイ労働副大臣によると、中国大使館スタッフが同国労働省を訪れてこの問題について協議した。中国側は北京、上海、福建省・厦門(アモイ)など大都市5カ所に限ってフィリピン人家事労働者を受け入れる考えで、賃金については月額10万フィリピンペソを想定しているという。

記事は詳しく報じていないが、各国が外国人労働者を受け入れる際には自国民労働者とは別に自国通貨建ての最低賃金を設定する場合があり、中国側も人民元建てで10万フィリピンペソに相当する額の最低賃金を検討していると考えられる。

セイ労働副大臣は、中国の代表団が9月にフィリピンを訪れてさらに進んだ協議を行うと説明。中国側はフィリピン人の英語能力にも注目し、フィリピン人が中国人家庭で仕事をすれば中国人の子どもの英語力の向上にも効果があると考えているという。

香港メディアの蘋果日報(アップル・デイリー)は、大陸でのフィリピン人家事労働者の賃金が香港での外国人労働者の法定最低賃金の月額4310香港ドル(約6万円)よりもはるかに高いことに注目。実際の受け入れ人数にもよるが、中国が高額報酬で家事労働者としてフィリピン人を受け入れることになれば、周辺国の家事労働の賃金相場が影響を受ける可能性も否定できない。

中国の周辺で東南アジアからの家事労働者を多く受け入れていると地域としては、香港以外に台湾を挙げることができる。ただし蘋果日報によると、台湾政府・労働力発展署の関係者は中国によるフィリピン人家事労働者の受け入れは、台湾には影響を及ぼさないとの見方を示した。

台湾における外国人家事労働者に対する最低賃金は、手当を含めて月額2万台湾ドル(約7万3000円)で、中国のフィリピン人家事労働者受け入れで想定されている賃金よりもかなり低い。ただ、台湾で働く外国籍労働者は41万人でうちフィリピン人は11万3000人だが、家事労働者は数百人と極めて少ないので影響はないという。なお、台湾の外国人家事労働者のうち、最も一般的に見られるのはインドネシア人だ。

2016年に就任したフィリピンのドゥテルテ大統領は発言に「ブレ」があるものの、基本的にはアキノ前政権時に南シナ海における領有権問題などにより極めて険悪化した中国との関係を修復し、中国に歩み寄ることで経済的利益などを引き出す方針を取っている。

家事労働を含む労働力の輸出はフィリピンにとって重要な外貨獲得手段で、海外からの送金額は金融市場などの動向を判断するための経済指標にもされている。中国によるフィリピン人家事労働者の受け入れが実現すれば、ドゥテルテ大統領は中国との協調路線により、経済面における成果を一つ引き出したことになる。(翻訳・編集/如月隼人

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