<コラム>中国人社員たちから総スカンをくらった前任者、どこが悪かったのか

曽賀 善雄    2017年7月13日(木) 23時0分

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事業を大きくしたいという熱い気持ちはよくわかります。が、ひとつ間違えれば単なる独りよがりになってしいます。功をあせっては失敗のもと。写真は大連市。

事業を大きくしたいという熱い気持ちはよくわかります。が、ひとつ間違えれば単なる独りよがりになってしいます。功をあせっては失敗のもと。

2000年4月1日、私は社命により上海から大連に転勤となりました。その1週間ほど前のある日、引き継ぎのため新任地である大連に行った時の様子をご紹介します。

実は、引き継ぎで訪れた私の目の前で、前任者と現地社員が言い争いを始めるなど、何とも言えない雰囲気が漂っていました。それを横目に、前任者が過去に書いた日本本社宛のレポートを読むと、「グループ会社として似ても似つかぬ会社である」と記されていました。事前情報として少しは聞いてはいましたが、想像以上に社員の心はすさんでいるように感じました。

その会社は日中合弁企業として1993年に設立され、5年余りが経過した1999年に初代の責任者から彼が引き継ぎ、2代目の責任者として赴任しました。彼は責任者として、会社を早く大きくしたいという気持ちを、他の誰よりも強く持っていたからこそ、着任時に感じた「似ても似つかぬ」社内状況に愕然としたのだと思います。

彼は着任後、自分が日本で経験してきた、自分の頭の中にある、“(グループ会社として)あるべき姿”を、社内に現出しようとしたに違いありません。現地の社員たちは一度も日本に行ったことのない社員ばかりで、「グループ会社としてあるべき姿」と言われても、それがどのようなものかがそう簡単にはわかる訳がありません。結果として、彼は社員たちに一方的にそれを押し付けただけであったと言えます。

当時は会社ができてから6年目。その間の社内のマネジメントや運営がほぼ中国側の言いなりで推移したことで、グループ会社としては似て非なる状態となってしまっていました。その状態の中へ彼が突然日本から送り込まれたわけです。

「似ても似つかぬ」会社になっていた責任を、結果として一般社員に求めたことに他ならず、少々酷な話であると私は思います。社員たちはわけもわからず「何だこれは…。話にならないじゃないか」と頭から怒られ、可哀そうなことこの上ありません。結局、彼は社員たちから総スカンをくらって、在任期間わずか8カ月であえなく降板という悲しい結果になってしまいました。

中国の古典に、苗を早く成長させようとの強い思いが昂じて、苗を引っ張ったところ、苗は枯れてしまった(孟子:助長抜苗)との寓話があります。

いかに強い思いがあったとしても、責任者として焦ったり必要以上に急いだりすると、いい結果にはつながらないと私は思います。せっかく芽を出した苗が枯れてしまったのでは元も子もありません。功を焦らず、じっくりと構えて一歩一歩社員たちと共に前進する、そんな責任者であるのが成功のツボではないでしょうか。

■筆者プロフィール:曽賀善雄

1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。

■筆者プロフィール:曽賀 善雄

1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。

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