秋澤 文芳 2017年7月6日(木) 0時10分
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昔からの旧いアパート群等が跡かたもなくすべて崩され、住民も移転を余儀なくされる状況は今なお続いている。筆者撮影。
◇大雨続く福建省内の現場にて沿岸部での開発が加速、地方都市福清市等でも!一方、内陸では緑色保存等も武夷山等周辺にて図られている
先週、そして今週にかけて中国内では暴雨の到来だ。台風こそないものの、浙江省ほか広西壮族自治区の各市においては暴雨被害が各メディア等で大きく報道されている。そのため、当初予定されていた日程も大きく変更を余儀なくされて計画も次々と狂いはじめた。
◇海外進出、そして投資意欲盛んな地方都市、福清市では次々と開発が進む
昔からの旧いアパート群等が跡かたもなくすべて崩され、住民も移転を余儀なくされて行く姿は、数年前のかつての沿岸部や内陸部で、新たな高層商業ビル・マンション等が急ピッチで建設されている姿に一抹の不安も感じざるを得ない場面もあった。現在の中国内の地方都市では、今なおこのような状況が続いているのも実情だ。
◇海外進出・投資意欲の盛んな「華僑の故郷」故なのか投資額の統計が凄い
この地方都市、福清市の状況をもう少し詳しく調べると、2016年、市の総生産値は868億元(1兆4千億円)、前年同期比13.3%と高い伸びとなっている。人口は110万人余となっている(2016年省都福州市は760万人、リゾート地区とも言われるアモイ市は392万人である)。人口の割に投資額等が大幅に高い福清市の現場に立ってみると、確かに開発の凄さを見せつけられた。
◇宿泊した宿の裏側には23階建ての新築のアパート・マンションが林立する開発区
人口比から考えてもこの異常とも思える「開発区」も再び鬼城(ゴーストタウン)化に陥るのではないかとも思われるほどだ。宿舎の目の前の超近代的な百貨店・商業施設には全く人影はみられない。周辺には「開発区、金融街」等といった看板があちこちに建てられていた。他都市で見られる空洞化都市と同じような現象がここでもか、と予想される。
◇すぐ近くの「人民法院」ではやはり…住民たちが大挙し抗議・陳情へ
翌朝、朝食後に散歩をしていると、まさに予感どおりと思われる光景が目の前に現れた。立ち退きを迫られた女性を中心とした庶民たちが裁判所の正面へと押しかけていた。陳情等の人は脇のゲートに朝からたくさん並んでいたので、この正面に押し寄せる人たちは「抗議」のための集会だ。話を少しばかり聞いてみるとすぐ目の前の大通りの裏側に住んでいた人たちだが、金銭等の問題でこの場所にやってきたということだ。
この現場の様子を早く「写真に撮って(メディア等で拡散してほしい)」という主婦の1人からからリクエストもあったが、すぐ近くには公安等に人や車もあったので足早に立ち去ることとした。数年前に各地で報道された、立ち退き住民と役所との闘いが、今回もこの場所でも見られたということは、この地区も記述のとおり今後の住民と市政府との補償交渉が大きな課題となってくる。
◇沿岸部から内陸部へ入った風光明媚な武夷山地区での今後の緑色旅游は
沿岸部の都市と異なり、緑の多い景勝地では交通の便も格段に便利となった。いや、便利となり過ぎたようにも感じる高鉄(高速鉄道)も開通している。従来であれば1日がかりでたどり着くのがやっと、という思いであったが今やこの福清市までは1時間余、厦門までも所要3時間半と便利になった。
今後、今から心配される大量の観光客の到来と周辺での環境破壊の問題だ。途中、目の前には美しい茶畑の光景が山すそに広がり私たちの心を和ませてくれる。しかし、高鉄の延伸にあわせ、これからは周辺道路の舗装化、そして将来的には高架を走る道路網の拡充により当地域の温暖化の問題等により周辺の茶畑にも大きな影響が生じる。地元政府と観光に携わる関係機関と地元住民等がどのような対応を見せてくれるのかも大きな関心事となる。
■筆者プロフィール:秋澤文芳
東京(豊洲)在住。1973年千葉大学卒。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游管理学部研究生として現在も在籍。工学院大孔子学院旅講師、東京都日中友好協会常務理事として交流促進。観光文化ツーリズム(株)代表として旅游企画・訪日インバウンドに取組む。
■筆者プロフィール:秋澤 文芳
東京(豊洲)在住。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游科学学院研究生として現在も在籍。東京都日中友好協会副理事長・経済ビジネス委員会委員長。日中観光文化研究所、観光文化ツーリズム等の代表として旅游・訪日インバウンドやコンサル業務に取組む。 Facebookはこちら※フォローはメッセージ付きで。ブログはこちら個人ブログ
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