八牧浩行 2017年4月27日(木) 5時10分
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船橋洋一・日本再建イニシアティブ理事長が「トランプ時代の世界秩序」と題して講演。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)創設に際し、「米国は日本と一緒になって、中国の方針に対し(反対の)攻勢をかけたのは愚策だった」と述べた。
2017年4月26日、船橋洋一・日本再建イニシアティブ理事長(元朝日新聞主筆)が「トランプ時代の世界秩序」と題して、日本記者クラブで講演した。トランプ大統領の登場で米国主導の「自由で開かれた国際協調主義」が米国の内外で岐路に直面していると指摘。「この大きな挑戦に対し、戦略の再構築が必要だ」と呼び掛けた。
また中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)創設に際し、「米国は日本と一緒になって、中国の方針に対し(反対の)攻勢を他の国にかけたのは愚策だった」と述べた。加盟国は現在70カ国以上に達してアジア開発銀行(ADB)を上回り、G7(主要7カ国)で日米だけが参加していない。発言要旨は次の通り。
トランプ大統領の登場で米国主導の「自由で開かれた国際協調主義」が米国の内外で岐路に直面している。米国では賃金格差、教育格差が拡大。トランプ政権は反国連、反国際主義に加えて、反自由貿易意識が根強い。経済も政治も大きな変動期にさしかかっており、現状分析と戦略構築が必要だ。
トランプ政権では政府の政治任用高級官僚534人のうち24人しか決まっていない。内政では法律をきちんと策定できず、外交政策も過去の蓄積や経験を生かすことができない。対中国政策や対朝鮮半島政策でも布陣が整っておらず、非常に危うい状態が続いている。
米国や中国など大国は、経済外交に際し多国間より2国間で交渉しようとする。特にトランプ政権はその傾向が強い。日本としてはできるだけ多国間の枠組みを堅持すべきで、環太平洋連携協定(TPP)は米国抜きでも維持する必要がある。中国をTPPに入れるべきだという議論もある。日中韓印東南アジア諸国による東アジア包括的経済連携(RCEP)も、スタンダード(基準)を高めて推進するべきだ。
中国主導のAIIB創設に際し、米国は日本と一緒になって、中国の方針に対し(反対の)攻勢を他の国にかけたのは愚策だった。中国の中の「覇権派」を勢いづけてしまった。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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