<コラム>お菓子のパッケージから見える、北朝鮮と中国の深いつながり

北岡 裕    2017年4月12日(水) 16時10分

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ある研究会に出席した際、主催者がお土産で買って来た北朝鮮製のワッフルを振る舞ってくれた。平壌の商店でお勧めのお菓子を聞いたら「これにしなさい!」と強く勧められたという。筆者撮影。

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北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国で会う案内員に最近の経済状態について問うと「最近のわが国の方針は自強力第一主義である」と自主経済を貫き、不当な経済制裁には負けないとその気概を説くが、北朝鮮の経済が中国の大きな影響下にあることは否定できない。

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昨年中朝国境を見た知己のある研究者は、経済制裁下にも関わらず鴨緑江(アムノッカン)を渡り北朝鮮に向かうトラックの列を見たというし、厳しい経済制裁について中国の姿勢を問う声は高い。

話は変わり昨年秋のこと。ある研究会に出席した。主催者がお土産で買って来た北朝鮮製のワッフルを振る舞ってくれた。平壌(ピョンヤン)の商店でお勧めのお菓子を聞いたら「これにしなさい!」と強く勧められたという。2004年に私が初めて訪朝した際、商店の女性接待員にお勧めのお菓子を聞いたことがある。彼女は困った表情を浮かべ「分かりません」と答えた。外国人に商品を勧めるという行為に戸惑ったのか。それとも自信がなかったのか。確かにあまりおいしそうなお菓子はなかった。また私は13年、16年と中国資本のスーパー「光復商業中心」を訪れているが、3年前は棚に並ぶお菓子や食料品のほとんどが中国製だったが、北朝鮮国産のものに置き換わった。中国産よりも北朝鮮国産商品の評価が現地では高い。

さて、ワッフル。300グラム入りで、生産は高麗食料加工工場。主原料は小麦粉、砂糖、バター、卵、粉ミルク、重曹。食品添加物はない。涼しく乾燥した場所に保管し、保管期間は2カ月。口にすると少し乾いていてパサッとしていたが普通においしい。

在日朝鮮人の友人にパッケージの写真を送った。赤っぽい箱と金色の「ワッフル」というフォントを見て「高麗人参みたい」という私の感想に友人もうなずいた。

妻が気付いたのが熱量表記。「1836KJ/100グラム」と書いてある。KJ(キロジュール)は熱量の単位だ。日本だとカロリーの方がなじみ深い。調べてみると日韓はカロリー表記、米国や欧州はカロリーとKJが併記されることが多いようだ。そして中国はKJ単独表記が多い。実に細かいがここにも中国の影響がある。

在日朝鮮人の友人は話す。かつては熱量が高い食品が人気だったが、最近は健康志向なのか熱量が低い食品が人気になったと。北朝鮮は変わる。お菓子のパッケージも、個人の嗜好(しこう)と自国製品に持つ自信も。

■筆者プロフィール:北岡裕

76年生まれ。東京在住。過去5回の訪朝経験を持つ。主な著作に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」。コラムを多数執筆しており、朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」では異例の日本人の連載で話題を呼ぶ。講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。

■筆者プロフィール:北岡 裕

1976年生まれ、現在東京在住。韓国留学後、2004、10、13、15、16年と訪朝。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。著書に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。

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