日本大嫌いだった僕と日本人の転校生(2/2)=日本への憎しみは彼女との出会いですっかり消えた―中国人学生

日本僑報社    2017年4月8日(土) 14時20分

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日本のアニメがきっかけで日本を好きになる中国人は多いが、山東政法学院の劉安さんは子どもの頃、日本人の作品とは知らずに日本の漫画に夢中になっていたそうだ。自身と日本の漫画、将来の夢について作文につづっている。写真は映画「聖闘士星矢」のポスター。

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1カ月が過ぎたある日、僕たちふたりが遊んでいると、昔の仲間たちが現れた。仲間たちは「あれ、日本大嫌い君、今度は日本人の女の子とすっかり仲良しなのか」と僕をからかい、女の子に向かって「コイツは日本人が大嫌いなんだよ」と言った。彼女は驚いた顔で僕を見ていたが、僕は何も言い返せなかった。家に帰ってすぐ、僕は漫画をしまった箱の封印を解いた。彼女との出会いが祖父の教えを忘れさせていることに、自分はもう気づいていた。

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半年ぶりに読む『聖闘士星矢』。面白い。正義キャラも悪キャラも、そして、正義か悪かはっきりしないキャラも皆、自分の信念を持って戦っている。「悪人」の日本人にこんな作品が描けるものか。彼女も礼儀正しい素晴らしい人だ。

彼女はその学期が終わった夏休みに、日本に転校した。そして僕は、日本語を勉強すると決心した。僕に夢を与え続けてくれたのは日本の漫画で、そんな漫画の翻訳家になりたいと思うようになった。

あれからもう10年近くになる。大学で正式に日本語を習うようになったが、実際の目で日本を見たいという気持ちは、ますます強くなっている。僕の憎しみは彼女のお陰ですっかり消えた。しかし、現実には、まだまだ数え切れないほどの人が日本を敵視している。もはや、中日両国は仲良くなれないかもしれないと、僕はつくづく思う。そんな僕の目の前に、「爆買い」という言葉が現れた。

「爆」が付いているところから見て、これはきっと日本人の曖昧な文句の言い方だろうとすぐわかったが、それでも、僕は心の底から嬉しい。日本人にとっては迷惑でも、こんなにも大勢の中国人が日本に行って買い物をするなんて、まさしく日本を認めているのだ。日本人を敵視しているにもかかわらず、どんどん日本に行って日本製品を買う中国人。矛盾しているようで実は矛盾ではない。あの頃の「日本大嫌い君」だった僕とそっくりだ。

恨みや憎しみが消えなくても、時間に任せればいいだけの話だと思い始めた。より多くの人に夢を与える漫画が読めるよう、僕は翻訳の道に進む。両国が今と違う関係になる日は、きっと自然に来るだろう。(編集/北田

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、劉安さん(山東政法学院)の作品「『日本大嫌い君』と日本人転校生」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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