日本経済に再び成長への希望、PMIデータ好転―中国メディア

人民網日本語版    2017年1月21日(土) 7時30分

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このほど発表された日本の製造業購買担当者指数(PMI)のデータは、多くの人に日本経済への希望を改めて抱かせるものだった。資料写真。

このほど発表された日本の製造業購買担当者指数(PMI)のデータは、多くの人に日本経済への希望を改めて抱かせるものだった。データをみると、日本の2016年12月のPMI確定値は52.4で速報値の51.9を上回り、11月の確定値の51.3も上回った。これでPMIは4カ月連続で景気と不景気のボーダーとなる50を上回り、経済活動の拡張ペースは15年12月以降で最速になった。「国際商報」が伝えた。

▽需要がPMIの好転を牽引

中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲研究員は、「日本のPMIが確実に好転の兆しをみせていることは確かだ」と話す。

昨年12月のPMI確定値が52.4という思いがけない好転ぶりをみせただけでなく、生産指数の12月確定値も同年で高めの53.8に達し、速報値の53.1を上回った。11月の生産指数は52.4だった。国内外の需要を判断する材料となる新規受注指数の確定値は11月の51.1から12月は53.2に上昇し、同年で高めの数字となり、速報値の52.8を上回った。

だが劉研究員は、「みるべき点は、日本のPMI上昇は主に国内生産の消費ニーズの増加によっていることで、これはクリスマスという季節的要因の牽引効果と切り離せない。データからもわかるように、ニーズの大幅な増加は国内での受注状況に現れている」と指摘する。

もう1つの注目点は世界経済の復興ぶりだ。日本では輸出、工業生産、消費支出がここ最近は復興の兆しをみせており、欧州、中国、北米向けの受注が増えている。

日本の財務省のデータによれば、16年11月の商品貿易額は1525億円で、このうち輸出額は前年同期比0.4%減少し、減少幅は市場の予測値の2%を大きく下回り、10月の減少幅10.3%も大きく下回った。輸出量に基づいて計算すると日本の輸出は同7.4%増加し、10月の同1.4%減少を上回った。劉研究員は、「国際市場にニーズの安定した復興傾向が日本の輸出にとって大きなプラスになった。だが注意しなくてはならないのは、その中での中国市場の役割の大きさだ。今後の日本のPMIが引き続き上昇傾向を示すかどうかは、中国市場の消費と生産ニーズをみなければならない」と注意を促す。日本の16年11月の対中輸出額は同4.4%増加している。

当然のことながら、すべての日本人が日本経済界のような楽観的な見方をしているわけではない。みずほフィナンシャルグループのアナリストは、「日本のPMIは上昇し、雇用情勢も改善されたが、設備投資は引き続き低迷している」と指摘する。

劉研究員も、「日本企業の設備投資の低迷傾向は企業の活力不足に現れている。日本全体の状況をみると、社会では高齢化が深刻化し、設備投資が増える可能性は小さい」との見方を示す。

劉研究員の指摘によれば、「設備投資が低迷し収益の可能性は限定的で、日本では産業を海外移転させて『空洞化』させることが企業が利益を伸ばすための最善の選択になっており、ここから日本が待ち望む設備投資や生産の高まりが非現実的なものであることがわかる」という。

▽復興ぶりをみるにはより多くの指標が必要

PMIの好転は日本経済が復興しつつあることを物語るのか。劉研究員は、「それほど単純に判断できない」とし、その理由として、「PMIの好転は周期的要因と季節的要因によるものにすぎず、底辺からのわずかな上昇でしかない。またPMIは日本経済の一部分を示しているにすぎない」ことを挙げる。

日本経済をよりよい状況にみせている要因のうち、米国大統領選挙でトランプ氏が当選したことが最大の転換点だ。劉研究員は、「トランプ氏が次期大統領に当選すると、円相場が大幅に下落し、16年全体での円上昇がもたらした圧力を基本的に緩和した。日本経済には繁栄の兆しがみえ、日経平均株価は一時は約1万9千円まで値上がりし16年12月30日の大納会の終値は1万9114.37円となり、年の納めの終値としては20年ぶりの高値を記録した。金融の角度からみると、トランプ氏という「ブラックスワン」の出現が16年第4四半期(10-12月)の日本経済の成長ペースを好転させ、『アベノミクス』は絶体絶命の状況の中で希望を見いだした」と指摘する。

実際、トランプ氏が当選しなければ、日本経済の16年の動きはかなり深刻なものになったといえる。劉研究員は日本銀行(中央銀行)が16年1月にマイナス金利政策を打ち出したことについて、「経済活性化と貸出増加という目的を達成できなかっただけでなく、反対に銀行産業の利益と市場の活力を極めて大きく損なってしまった。その後、日銀は戦うことをやめ、10月の金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を導入し、人々の目をこれまでの量的緩和の規模から長期金利政策へと移し、再緩和の必要性を低めようとした。言い換えれば、この2つの『布石』は行き場を失った日本経済の苦境を示すものでもある」との見方を示す。

また注意しなければならないのは、PMIの回復傾向は国際市場に共通した流れだということで、中国やドイツなどの国ではPMIが目立って上昇している。劉研究員は、「横方向に比較すると、世界では多くの国・地域でPMIが16年12月に好調な成績を上げ、グローバル製造業が底から上昇して復興する動きをみせている」と指摘。アナリストも、「ここからグローバル経済に明るい兆しがみえてきたということができる」と述べる。日銀の黒田東彦総裁は16年末に東京で行った日本経済団体連合会審議員会における講演で、経済の見通しに対する積極的な見方を強調した。(提供/人民網日本語版・編集KS)

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