八牧浩行 2016年12月14日(水) 5時20分
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12日、ロシアのプーチン大統領が15日に来日するのを前に、世耕対ロ経済協力相・経済産業相が日本記者クラブで会見し、16日に安倍首相との間で文書の調印・交換が行われることを明らかにした。
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2016年12月12日、ロシアのプーチン大統領が15日に来日するのを前に、世耕対ロ経済協力相・経済産業相が日本記者クラブで会見し、16日に安倍首相との間で文書の調印・交換が行われることを明らかにした。
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11月にペルー・リマで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の際、日ロ間で合意した約30項目の経済協力について、「ロシア側との協議が順調に進んでいる」と表明。その上で両国政府は小児医療・長寿や都市環境開発など8項目の「経済協力プラン」を協議していることを表明した。
北方領土問題が未解決のまま日本の経済協力だけが進展し、「経済協力が日本の一方的な持ち出しに終わるのでは」との見方がくすぶっていることについて、「必ず融資・投資して返ってくるプロジェクトを選んだ。いわゆる『食い逃げ論』は当てはまらない」と強く反論した。その上で、ロシアが先行するサイバーセキュリティーや廃炉技術を例に「ロシアから協力してもらうものもある。互いに得るものがあるプランだ」と強調した。
さらに世耕大臣は「これまでにない規模とスピードで経済協力が進展することで、政治にいい影響を与える」として、経済協力が領土交渉の進展に結びつくことを期待した。
主要7カ国(G7)による対ロシア制裁措置については、「経済協力プランが制裁にふれないか、入念に確認している。ウクライナ問題でのG7の連帯を乱すようなことはない」と指摘。ロシアからの電力調達の可能性について「課題が多くあり、まず第一に経済的に成り立つかどうか。日本の中での発電より経済的にメリットがあるかよく検討していかなければならない。現段階でロシア側と合意しているのは、研究を進めていくという点だけだ」と述べた。
このほか「日本とロシアの取引は、日中間取引に比べ、貿易で10分の1、累積投資額でで80分の1と非常に少ない」と指摘、発展の余地は大きいと強調した。
プーチン大統領と安倍首相との会談について、日ロ外交専門家は「ロシアの主権を認める北方4島での『共同経済活動』を呼びかけたプーチン大統領が外交的には一枚上手である」と指摘。「領土問題、平和条約などでの進展はない」との見通しを示している。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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