<コラム>日本語厳禁!中国の軍事管理地区で目の当たりにした、自衛隊と人民解放軍の違い

荒木 利博    2016年12月15日(木) 22時40分

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中国には外国人が入れないエリアがたくさん存在する。特に軍事管理区などへは知らずに立ち入ったにせよ、最悪拘留されかねない。写真は中国の兵士。

中国には外国人が入れないエリアがたくさん存在する。特に軍事管理区などへは知らずに立ち入ったにせよ、最悪拘留されかねない。スマホ、デジカメやビデオカメラのデータはおそらく消去させられる。その国の事情を尊重するなら、これは当然、本人の責任だ。

しかし、郊外の山間部にある軍管区には、筆者の趣味であるパラグライダーで飛ぶのに最適なところも多い。このような地区では、中国人パラグライダーパイロットたちは、黙認ということで特に制限も受けず飛んでいる。

そんな立ち入り制限地区でも、実は日本人なら中国人の仲間に交じって飛べないことはない。筆者も舟山群島の、普段は解放軍が上陸訓練を行う海岸や南京の戦車訓練場で上空を飛んだことがある。気を付けなければならないのは、外国人とばれないように一切日本語をしゃべらないことである。この点、我々日本人は外見上一目で外人とわかる顔をしていないことに感謝したい。

以前、大連の海軍の射撃場に、中国人の友人に連れて行ってもらったことがある。もちろんこの時も日本語は厳禁であった。人民解放軍の管理下にある施設に入る居心地の悪さと、射撃ができるわくわく感とが入り混じる、奇妙な感覚は今でも忘れられない。

その日、海軍の士官に案内されて、山の中の射撃場に行くと、何と!そこはどう見てもゴルフのドライビングレンジだった。つまり、日によって、実弾射撃場になったり、ゴルフの練習場になったりするようだ。考えてみれば、誰もが副業を持つ中国なので、海軍のおエライさんが、射撃場を時々ゴルフ練習場として開放しているのもあり得ない話ではない。

さて、肝心の射撃だが、参加した十数名には事前のブリーフィングもなく、人民解放軍の突撃銃とカラシニコフ実弾を100発ほど受け取り、各自が思い思いにゴルフスイング用の人工芝に伏せて撃ちはじめた。射撃コーチも安全管理者もおらず、実弾をポケットに入れて持ち帰ろうと思えば、難なく出来る状況であった。

単射と連射を交え存分に撃ちまくったら、目の前の芝の上には、普段は白いゴルフボールが転がっているのだろうが、今日は戦場さながらに空薬きょうが無数に落ちていた。驚いたことに、これらの空薬きょうは『自由にお持ち帰りください』状態だった。参加者全員が撃ち終わると、めいめいが自分の周りの薬莢を拾いはじめ、ポケットやバッグに好きなだけ詰め込んでいたのだ。もちろん筆者も50個ほど記念に持ち帰った。自衛隊が、空薬きょう1個の紛失でさえ、全力で見つかるまで探すのに比べ、まさに天と地の差である。

これまで何度も中国人と一緒に軍事管理地区で遊ばせてもらったが、何事もなく無事に生還できた。もちろん、こんな冒険はしない方がいいに決まっている。下手をすれば最近頻発するスパイ容疑で拘束されることもあるだろう。人民解放軍は公安よりはるかに怖い存在であることをもう一度、肝に銘じておきましょう。

■筆者プロフィール:荒木利博

アメリカで学位取得後、アメリカとドイツの駐在勤務を経て、1996年から2015年まで中国に滞在、合わせて四半世紀以上を海外で暮らす。プライベートでは、60代半ばになるまで中国のアウトドアライフを謳歌した。2016年初頭より東京のリロケーション関連企業に勤務している。

■筆者プロフィール:荒木 利博

昭和24年に生まれ、現在都内在住。米東部州立大学卒業後、アメリカとドイツの駐在を経て、1996年から2015年まで中国に滞在、合わせて四半世紀を海外で暮らす。中国では香港の大手ディベロッパーのKerry(嘉里)やShui On(瑞安)に籍を置き、大連、北京、上海で大規模不動産開発に参加。プライベートでは、中国各地をパラグライダーで飛んだり、無免許でハーレーを乗り回したり、大連湾でカヤックを漕いだりと、60代半ばになるまで中国のアウトドアライフを謳歌した。2016年初頭より東京で外国人向け総合不動産サービスを提供している。地球の暮らし方(ダイアモンド社)2005年上海版編集協力した実績を持つ。

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