日清戦争後に日中融和を説いた貴族院議長がいた!「近衞篤麿とその時代―明治アジア主義」シンポジウム、10日に立命館大で開催

八牧浩行    2016年12月2日(金) 14時50分

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シンポジウム「近衞篤麿とその時代―近衞篤麿と明治アジア主義」が12月10日に京都市の立命館大学で開催される。中国はじめ東アジアの融和の重要性を唱えた近衞篤麿の軌跡は、日中関係はいかにあるべきかとということを我々に問いかけている。写真は近衞篤麿。

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<Think Asia―アジア理解講座>シンポジウム「近衞篤麿とその時代―近衞篤麿と明治アジア主義」が12月10日に京都市北区の立命館大学衣笠キャンパスで開催される。近衞篤麿は明治後期に貴族院議長、学習院院長、帝国教育会初代会長などを歴任、欧米の人種主義に対抗するために、「同人種同盟」を説き、中国問題を研究するため東亜同文会(霞山会の前身)を組織、初代会長を務めた。日中関係が悪化している今日、中国はじめ東アジアの融和の重要性を唱えた近衞篤麿の軌跡は、日中関係はいかにあるべきかとということを我々に問いかけている。

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シンポジウムでは近衞篤麿と「明治アジア主義」について、第一線の学者や知識人が研究成果を報告する。主催の一般財団法人霞山会、立命館大学アジア・日本研究所は多数の参加を呼びかけている。入場無料。

明治28年(1995年)、日本の勝利のうちに日清戦争が終結すると、欧米列強間の中国分割競争(「支那分割」)は激化し、日本も、中国、東アジアの分割に参加。次第に日本国民は中国や中国人に対して蔑視感情を持つようになっていった。

 

このような日清戦争後の「支那分割」論の隆盛と対中世論の驕慢(奢り見下すこと)化を憂えたのが、五摂家筆頭近衞家の当主、近衞篤麿だった。明治31(1898)年1月、近衞は論文「同人種同盟、附支那問題研究の必要」を雑誌『太陽』に発表、驕慢化した対中世論に警鐘を鳴らした。近衛は、欧米の人種主義に対抗するために、「同人種同盟」を説き、31年11月には、「支那問題の真相」を研究すべく、興亜団体、東亜同文会を組織した。近衞の周辺や東亜同文会には、主義主張は異にしながらも、日本にとって中国が重要な存在であり、「支那問題の真相」を研究することが焦眉の課題であると考える多くの人材が集まった。さらに、近衞は、張之洞、康有為等多くの中国人人士とも交わった。

シンポジウム「近衞篤麿とその時代」

日 時:2016年12月10日(土) 12:30開場 13:30開始

場 所:立命館大学衣笠キャンパス敬学館

入場料:無 料

主 催:霞山会、立命館大学アジア・日本研究所

後 援:公益財団法人陽明文庫、京都新聞

<特別講演>

名和 修(公益財団法人陽明文庫)

<報告者>

クリストファー・スピルマン(上智大学)「明治アジア主義の可能性」

嵯峨 隆(静岡県立大学)「近衞篤麿と近代中国の政治変動―人的交流を中心に―」

高木宏治(陸羯南研研究会)「近衞篤麿と明治言論人」

栗田尚弥(國學院大学)「同人種同盟論を巡って」

<コメンテーター>

山崎有恒(立命館大学)

<司会>

高村總史(國學院大學)

【問い合わせ】霞山会 電話03-5575-6301 FAX03-5575-6306

       立命館大学文学部 山崎有恒研究室

八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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