Record China 2016年10月18日(火) 22時40分
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18日、中国の海賊版DVDに欠かせない存在である「字幕組」のメンバーの逮捕が波紋を広げている。彼らはどのような目的で活動し、中国に何をもたらしたのか。資料写真。
2016年10月18日、中国の海賊版DVDに欠かせない存在である「字幕組」のメンバーの逮捕が波紋を広げている。彼らはどのような目的で活動し、中国に何をもたらしたのか。
「字幕組」(ファンサブ)は、違法に入手した映像に勝手に字幕を付け、ネット上に配信するグループの総称だ。そんな字幕組のメンバーの1人が、京都府警に逮捕されたというニュースが流れたのは9月28日のことだった。字幕組の摘発は日本初だという。
字幕組には複数のグループが存在し、グループ内で日本で番組を録画し中国に送る者、翻訳する者、校正する者など、役割が分かれていて、放映からわずか数時間後には字幕付きの海賊版動画となってネット上で公開される。違法ではあるが、その技術はプロ並みと言っても過言ではない。
では、字幕組は中国人からどのような評価を得ているのか。ネットユーザーの反応を一言で表すなら「複雑」だろう。「知的財産権という観点からすればこれは正しい。でも、アニメファンとしてこれはつらい」「彼らのような権利侵害者たちがいなければ、中国のオタク文化はここまで育たなかった」など、権利を侵害していることは悪だと認めつつも、中国における日本文化の普及に尽力したと評価する声が多い。
在日中国人作家の黄文葦氏は中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で、中国事情に詳しい日本人の話として、「海賊版は正規のルートでは知ることができない外国の文化を中国人に伝えることができる。これにより、中国人は欧米や日本の庶民の考えを理解し、『世界に出てみよう』という思いが生まれた」という見方があることを紹介している。
なぜこのように肯定的な評価が出るのか。理由の一つは、彼らが海賊版によって利益を得ているわけではないことだろう。字幕組として活動するある男性は、「ほとんどの字幕組は『好き』という気持ちだけに支えられて無償で働いている。日本語を知らない人々に日本の今を伝えるためにずっと受け継がれ、これまでやってきた」とその思いを述べた。
男性は、「法的には著作権を侵害しているのは事実なので否定はしない。製作者側を無視し、勝手に行動して自己満足している。本当に申し訳ない」とする一方、「私たちの国では、一般人は外国のテレビが見られない。外国のテレビ番組が放送されることもめったにない。見られても韓流などが多い。『DVDを買えばいい』と言われるが、それも簡単なことではない。輸入自体あまりされていないからだ」と訴える。
男性は自身が字幕組として活動する理由について、「日本にいる人々と一緒に日本の『今』の空気を感じたい。温かいから。日本のものは心をきれいにする――これが私たち日本を愛する者の共通の認識だ。日本のものはもはや私たちの日常に欠かせない一部となっている」と述べている。
実は、中国でもコンテンツの正規化の流れはあるという。2011年以降、動画サイト「Tudou」などが多くの日本アニメの正規版配信権を購入している。こうした流れを字幕組はむしろ喜んでいるそうだ。また、「中国で活動していないアーティストに、中国のファンがたくさんいる」という状況も、字幕組に関わる人々にとって喜びだという。AKB48の選抜総選挙で中国のファンによる票の爆買い現象「中華砲」は、非正規コンテンツを利用していた人たちがお金を出してCDやグッズなどを購入する日本ファンに転じたことがきっかけだ。
香港では今月15日、アニメファンらが日本政府に対して中国の字幕組のメンバーの釈放を求めて集会を行った。字幕組の活動は彼ら自身が認めている通り、違法であることには間違いないし、著作権者の利益を損なう許されないものである。しかし、彼らの見返りを求めない活動によって、多くの中国人がそれまで知ることのなかった日本の一面を知ることができたということもまた事実である。(編集/北田)
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