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<コラム>北朝鮮のエリート案内員はタフ過ぎる!事務作業に加え肉体労働も=200日間戦闘で彼らの戦いはまだまだ続く

北岡 裕    2016年7月10日(日) 14時0分

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36年ぶりの朝鮮労働党大会が終わった。だが、北朝鮮では5月末から200日間戦闘が始まった。大動員運動は続く。写真は2013年の平壌市内。芝生の大々的な植替え作業。筆者撮影。

36年ぶりの朝鮮労働党大会が終わった。私が訪朝した今年4月はその開催直前で、70日間戦闘と呼ばれた大動員運動の真っ最中で、平壌市内のあちこちで大規模な工事が行われていた。大動員運動の最中の訪朝は初めて。「工事現場の写真は撮らないでください」と案内員からは言われていたが、工事ばかりで少々閉口した。

案内員の肌が焼けていた。もともと北朝鮮では事務職は月〜木が通常業務で金曜日は工事現場などで働く。これは金日成主席の「健康のためにも、現場を知る意味でもそうしなさい」という指導によるものという。土曜日は学習日で日曜日は休日なのだが、今回の70日間戦闘ではエリートである案内員も例外なく、平日の仕事を終えた後に加えて日曜日も自主的に建設現場に出て働いていたという。

案内員はタフだ。朝から夜まで私たち訪朝団のガイドと通訳を務め、一日の日程が終わったあとも希望者がいればカラオケバーに共に出撃する。玄人はだしの美声で日本語の歌を歌ってみせ、その後ホテルで未明まで議論を交わす。13年の訪朝時は右翼関係者と毎晩苛烈な議論を繰り広げていた。翌日も平然とした顔で仕事をこなすタフさには舌を巻いた。

だが今春の訪朝では案内員も70日間戦闘のためか少しお疲れ気味だった。一日の日程を終えた案内員にホテルのバーでコーヒーをご馳走したら、珍しく日付が変わる前に“撤退”していった。

滞在中、美林乗馬クラブを訪問した。乗馬クラブに隣接してある飛行場(よど号メンバーが着陸した飛行場と思われる)では大規模な工事が行われていた。遊覧飛行が出来るように改築するのだという。基本的に北朝鮮の工事現場は人海戦術、人力頼り。驚くほど多くの人が働いていた。

それを見たホテルのバーでコーヒーをご馳走した案内員が呟いた。「この乗馬クラブの工事には私も加わったのですよ」と。「すごいっ!どのあたりを工事されたのですか」と聞くといやいやと照れくさそうな表情を見せて、ついに話してくれなかった。朴訥で謙虚な案内員だった。

北朝鮮では5月末から200日間戦闘が始まった。大動員運動は続く。私に照れくさそうな表情を見せた案内員も現場で働いているはずだ。滞在中疲れた表情を見せていた彼のことが心配だが、次に会ったらどこの現場の工事をしたのか聞いてみたい。たぶんまた、いやいやと照れくさそうな顔を見せて答えてくれはしないのだろうけど。

■筆者プロフィール:北岡裕

76年生まれ。東京在住。主な著作に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。執筆と講演の依頼、お待ちしています!

■筆者プロフィール:北岡 裕

1976年生まれ、現在東京在住。韓国留学後、2004、10、13、15、16年と訪朝。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。著書に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。

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