「戦犯たちが靖国に入れられるのは、迷惑この上ない」=この言葉を聞いて、日本人の考え方が少しわかるようになった―中国人学生

日本僑報社    2015年12月11日(金) 8時37分

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同じ現象でも、それぞれの国で伝えられる情報、人々が受け取る印象には違いがあると北京師範大学の厳春英さんは主張した。写真は頤和園。

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日中関係が緊張している原因に、相互理解の不足を挙げる声は多い。同じ現象でも、それぞれの国で伝えられる情報、人々が受け取る印象には違いがあると北京師範大学の厳春英さんは主張する。厳さんが訴えた情報の取捨選択は、情報化社会の現代にこそ必要なものだ。

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日本語を学ぶ私は相互学習のため、いろいろな日本人と付き合ってきました。その中で一番仲の良い人は友達に紹介された石井さんという優しいおばさんです。

中国に深い感情を持っている石井さんは50歳近いのに一人で中国へ来て一生懸命中国語を勉強しました。その上、旅行が好きで、中国のあちこちを回り、私より中国に詳しいようです。趣味が広い石井さんは、私に少なからぬ影響を与えています。週に2回ぐらい一緒に勉強したり、食事をしたりするうちにすっかり仲よくなりました。私たちは何でも話し合える良い友達で、年には差があっても心には隔たりがありません。このような方と出会って良かったなとしばしば思います。

ある時、石井さんに誘われて一緒に頤和園に行きました。景色を眺めながらいろいろ話をしましたが、つい話が進んで日中関係にまで及びました。石井さんが、「確かに戦争を起こした日本は悪いけれども、戦後、中国政府はひたすら日本が悪い、日本人が悪いと吹き込み、国民の反日ムードに油を注ぐことになりました。戦争を生き延びた元兵士の方からは、『若い兵士の命を粗末に扱ってきた戦犯たちが靖国に入れられるのは、迷惑この上ない』ともよく聞きました。それはもっともです。戦争を生き延びた日本人と中国人たちの戦犯への意識はかなり近いと思います」と話すのを聞いて、私は日本人の考え方もちょっと分かるようになりました。

いつも自分本位で物事を考え、他人がしていることにはどうしても納得できないという風にしていると、一種のステレオタイプでしかものを見られなくなってしまいます。中国人の頭に描かれている日本人のスケッチは、桜の季節になると傘を提げて花見に出たり、働き蜂で休まずに仕事ばかりしたり、他国の気持は全然気にせず靖国神社を参拝したり…。せいぜいこのようなものでしょう。日本人は中国の反日デモを野蛮でとんでもない騒ぎだと取り上げますが、これらは大体マスコミから得た情報からの判断でしょう。それで日本人が中国について受け取る情報と、中国人が日本について受け取る情報との間に食い違いが生じます。数多く流布している断片的な情報を総合して、相手を全体として正しく理解することには至っていないということです。

我々国民が無条件に情報を受け取るのではなく、批判的に調べ、正しい情報をより分け、総合的に判断するという能力が必要ではないでしょうか。こういうことができて初めて、日中関係の理解が深まるのではないでしょうか。中国と日本とは一衣帯水の関係で文化など多くの面で共通していますが、同時に大きな相違点もあります。このような中で、ステレオタイプ的な主張があれば、それを助長するのではなく、是正することが大事なのです。そんな事を考えながら、石井さんと頤和園の景色を楽しみ、日中関係が明るい未来を迎えることを祈りました。(編集/北田

※本文は、第一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「日中友好への提言2005」(段躍中編、日本僑報社、2005年)より、厳春英さん(北京師範大学)の作品「草の根の祈り」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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