日本僑報社 2015年11月29日(日) 15時5分
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中国のトイレの衛生問題はかねてより話題になっているが、大連大学日本言語文化学院の杜洋洋さんは、日本で体験したトイレ掃除にまつわる出来事を作文につづっている。資料写真。
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北京市が設置した新たなトイレが注目を集めている。「第5空間」という名のこのトイレは冷暖房完備で、自動販売機や銀行のATM、無料のWi−Fi、電気自動車の充電スペースまである。中国のトイレの衛生問題はかねてより話題になっているが、大連大学日本言語文化学院の杜洋洋さんは、日本で体験したトイレ掃除にまつわる出来事を作文につづっている。
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先日の授業の時、クラスメートが植村花菜さんの「トイレの神様」という歌を流してくれた。「トイレには綺麗な女神様がいるんやで、だから毎日きれいにしたら、女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで」とおばあさんはトイレ掃除が苦手な孫娘に言った。
この歌詞を聞いて、涙がぽろぽろ流れてきた。そのメロディーを聞いているうちに、私は目の前に一つの画面が浮かんできた。ちょっとだけの白髪から見ると、40歳を過ぎたおばさんのようだ。彼女はしゃがんで、雑巾でトイレの便器をごしごし磨いていた。よく考えたら、それは、私が日本の山梨県で旅行して見た場面だと思い出した。
ある日、旅館でトイレに行く時、屈んで便器を磨いているトイレ掃除のおばさんの姿を見た。その時、私はあまりにびっくりして、口が閉じられなかった。トイレ掃除はただモップをかけるぐらいだと思っていた。そして、多くの中国人にとって、雑巾でごしごしパブリックな便器を磨くことはありえないだろう。びっくりした以外に、敬慕や感心という気持ちが知らず知らずのうちに沸き起こった。そうすると、どうして日本のトイレはいつもきれいなのか理由が分かった。
その後、何回もトイレであのおばさんに会った。おばさんはいつもマスクをかけて、ゴム手袋をしていた。会う時、おばさんはいつも親しく「こんにちは」とあいさつしてくれた。私は日本人の心を込めたあいさつが大好きだから、トイレ掃除のおばさんにとても好感を抱くようになった。
ある夕方、私はトイレに入った時、ちょっと暗かったけど、別に見えると思ったから、電気をつけずにいた。するとちょうどその時、トイレ掃除のおばさんが入ってきて、ゴム手袋をそっと脱いで電気をつけてくれた。「いつでも電気をつけていいんですよ」とおばさんは笑いながら言った。あの日の、おばさんの優しい眼差しは、私の心を温めた…あの感動が今になってもどうも忘れられないのだ。
トイレの女神様は一体どんな顔なのかな?私はよく分からないけど、旅館のトイレ掃除のおばさんの真剣な姿と彼女の優しさを思い出すと、まるでトイレの女神様のような気がする。日本でのたった2週間の旅行というきっかけで、トイレ掃除のおばさんから日本人の真剣さや礼儀正しさや優しさを体験した。将来、就職した後、私も日本人みたいに自分の職責をまっとうし、周りの人に誠意を尽くすように頑張りたいと思っている。(編集/北田)
※本文は、第九回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国人の心を動かした『日本力』日本人も知らない感動エピソード」(段躍中編、日本僑報社、2013年)より、杜洋洋さん(大連大学日本言語文化学院)の作品「トイレの女神様」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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