日本僑報社 2015年11月20日(金) 11時40分
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「日中の間には互いに偏見がある」とよく言われるが、遼寧師範大学の徐蕾さんは日本をめぐる2つの体験から、そうした偏見をなくすために発信していくことの重要性を実感したようだ。
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大学2年生の時、日本人留学生の女の子を案内して買い物をした時のことでした。手頃な物を見つけた彼女が「これはいくらですか?」と店のおばさんに尋ねたら、「65元です」と言われました。「安くなりませんか」と彼女が言うと、「40元にしてあげる」とおばさん。私がさらに「もう少し安くして。30元になりませんか」と言うと、おばさんはしばらく考えた後、「じゃあ、35元でいいよ、もう負けられないよ」。私が「30元なら買うそうです」と言ったら、おばさんは「あなたは中国人なのに、中国と日本のどちらを味方しているの」と怒ったように言いました。
急に言われた私は顔が赤くなり、何も言えなくなりました。しばらくしてやっと勇気を出して「私はもちろん中国が大事ですが、日本人の友達も大事です」と答えたら、おばさんは不満そうに「今の若者は仕方がないね」と言いながら30元で売ってくれました。私たちが店を出ようとした時、「日本人とどうして友達になれるのかね。信じられないわ」とおばさんがつぶやく声が聞こえました。
おばさんの言葉は長い間忘れられませんでした。「日本人とどうして友達になれるの」という言葉を思い出すたびに、以前に知り合った日本人の顔が浮かんできました。分らない問題を熱心に教えてくれた先生、相互学習で日本語の間違いを直してくれた女の子、バイトの時にいろいろ助けてくれた日本人。しかし、残念なことは、多くの中国人にとって実際に日本人と交流するチャンスは少ないですから、彼らの頭の中に残っている日本人の印象は、たぶん抗日戦争の時の日本軍人の残酷な様子でしょう。ですから、多くの中国人は店のおばさんのように「日本人と友達になるなんて、信じられない」というのも無理ないことかもしれません。私は日本人と友達であることを少し怖がるようになりました。
でも、その後、私は考え方を変えました。ある日、タクシーで学校に戻る途中、運転手さんが親切に話しかけてきました。「大学で何を専門に勉強しているの?」。私は変な目で見られたくないからただ「外国語です」と答えました。すると「私の娘と同じだ。娘は日本語学科、今日本に留学してるんだ」と楽しそうに言いました。「えっ、本当ですか?」という私に、「そうだよ。留学生活は苦しそうだけど、娘が困った時にはいつも親切な日本人が助けてくれる。私は以前、日本人が大嫌いだったが、娘が本当の日本人を分らせてくれた。私はできるだけそんな日本人をみんなに伝えたいんだよ」と話してくれました。
運転手さんの話を聞いて、はっと気づきました。中国でも、日本でも、相手を理解できないで、偏見を持っている人が少なくないと思います。私たち日本語を勉強している学生たちは、両国の壁を取り除くために、運転手さんのように本当の日本や日本人のことをみんなに伝えるべきです。日中の友好交流は、政治的なことはもちろん重要ですが、民間の交流がとても大事です。真の友好交流は、両国の人たちが真心を込めて、本心で付き合うことではないでしょうか。今、もし誰かに「日本人と友達になれるの?」と聞かれれば、きっと自分の経験を伝えながら、「なれる」と自信を持って言えます。(編集/北田)
※本文は、第三回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「国という枠を越えて」(段躍中編、日本僑報社、2007年)より、徐蕾さん(遼寧師範大学)の作品「真の友好交流」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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