<どうなる中国経済>“伸びしろ”大きく「崩壊しない」=習主席が権力掌握、改革進めやすい―丹羽前駐中国大使

八牧浩行    2015年9月18日(金) 7時36分

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丹羽宇一郎日中友好協会会長は、中国経済がやがて崩壊するのではないかとの見方について、主要16都市だけで中国のGDP全体の50%以上を占め、平均成長率は8.5%にもなる、と指摘。「世界最大の製造業大国」を目指しており、「崩壊しない」と強調した。

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2015年9月15日、丹羽宇一郎日中友好協会会長(前駐中国大使・伊藤忠商事前会長)は、中国経済がやがて崩壊するのではないかとの見方について、主要16都市だけで中国のGDP全体の50%以上を占め、平均成長率は8.5%にもなる、と指摘。「世界最大の製造業大国」を目指しており、「崩壊しない」と強調した。発言要旨は次の通り。

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習近平国家主席は権力を掌握し、経済改革を進めやすい。情報入手が得意な米国が、習氏体制が長く続くと見たからこそ、今月下旬に国賓で彼を迎え入れ、長時間会談する。9月3日の軍事パレードはアナクロニズムだが、習主席の権力掌握を内外に誇示すものとなった。中国と米国の関係は強く幅広いものになっている。オバマ大統領との米中首脳会談は数時間にわたり開催され、様々な懸案が話し合われる。

現在世界全体のGDP(国内総生産)のうち、米国が16兆ドル、中国は10兆ドル、日本は4.7兆ドルで、中国の台頭と日本の凋落が目立っている。中国は1990年代の20倍となった。貿易総額では中国が4.2兆ドルで、米国の3.9兆ドル、日本の1.5兆ドルを上回っている。

中国経済に関して「崩壊論」が飛び交っている。データや情報不足もあるだろうが、崩壊はしない。GDP成長率は内陸部の重慶が11%に達しているのに対し、遼寧省は2.6%と地域によって差がある。長江デルタ地帯、重慶、武漢など主要16都市だけで中国のGDP全体の50%以上を占め、平均成長率は8.5%にもなる。低成長地域は開発の余地が大きい。

中国では過大な需給ギャップの縮小が急務だ。中国は世界で初めての巨大な資本主義社会であり、(他の国とは)ケタが違う。全体のパイが拡大しているので、GDP伸び率が減速しても「伸びしろ」は従来より大きい。中国は30年後の共産党創立100年周年までに「世界最大の製造業大国」を目標に掲げている。

上海株式が急落したが、売買の大半は個人投資家によるもので、生活を賭けている人は少ない。株下落が経済の足を引っ張ることにはならない。給与水準は毎年上昇しているが、労働生産性も急速に高まっているため、国際競争力が下がって輸出が困難になるというのは間違いだ。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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