京劇

中国の伝統劇な演劇全般を「中国戯曲」と言い、京劇はその中のひとつである。ご承知のように中国は広大な国である。漢字によって文化圏は一応まとまっているとは言うものの、地域によって風習や言葉がかなり異なる。地域ごとの色合いの違いは、もちろん演劇にも表われている。この「京劇」は中国戯曲の最も代表的な演劇で、それ以外の地方の伝統演劇を「地方劇」と呼び、区別して言われるのが一般的である。

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「京」とつくからには、京劇は皇帝の住まう都、北京の演劇である。北京という呼称で“首都”になったのは明代からで、京劇が形成されたのは満州族王朝の清代である。数ある伝統演劇の中でも遅い方である。というのは、あらゆる地方劇のエッセンス、つまり“イイトコ取り”をして登場してきた、最も醸成され、洗練された演劇なのである。