TPP、AIIB…日中米関係のリバランス―中国紙

Record China    2015年4月21日(火) 14時29分

拡大

20日、国賓待遇で昨年4月に日本を訪れた米オバマ大統領は、日本に向けたある期待のこもった贈り物として、尖閣諸島の防衛は「日米安保条約」の適用対象であると明言した。だがこの期待がかなえられることはなかった。資料写真。

(1 / 2 枚)

2015年4月20日、国賓待遇で昨年4月に日本を訪れた米オバマ大統領は、日本に向けたある期待のこもった贈り物として、尖閣諸島の防衛は「日米安保条約」の適用対象であると明言した。だがこの期待がかなえられることはなかった。TPP(環太平洋経済連携協定)の農業と自動車の問題で日本は米国に譲らなかったのである。オバマ大統領はこれに気を悪くし、安倍首相との寿司屋での会食も物別れで終わったとされる。中国・米国・日本の関係の「リバランス」の幕が上がったのはちょうどこの頃だったと言えるかもしれない。中国青年報が伝えた。

その他の写真

東アジアの一部の国は、長期的な変化の結果、「安全保障では米国に依存し、経済では中国に依存する」というジレンマに陥りつつある。この状況は、東アジアの主導権を維持したい米国には都合が悪い。米国の当初の「リバランス」の重要な活動の一つは、東アジア諸国の貿易産業チェーンにおける中国と各国との緊密な関係を破ることだった。そのため手段とされたのが、中国をのけものにし、中国の影響力を弱めさせるTPPの設立だった。金融危機後の米国経済を活性化する手段ともされた。TPPは、中国の東アジアでの主要な貿易パートナーを引き込もうとするもので、日本はTPP成功のための重要な一環となった。日本の参加なしに米国が推進してもTPPは成功しない。だが日米両国の交渉は長引き、国内に成果を発表できないオバマ政権は苛立ち、とりわけ日本が農業と自動車の関税について妥協しないことに頭を悩ませた。

一部のアナリストは、TPPとTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)の構築は、米国が世界の貿易の主導権を再び握るための2つの翼として構想されていると分析している。米国はその突破口として、相対的に立場の弱い東アジアの国々を選んだ。だがTPPは大きな進展を得られず、米国はTTIPでも欧州に圧力をかけにくくなった。「リバランス」で主導権を取り戻そうとした米国の試みは挫折を余儀なくされた。表舞台で失敗したばかりか、「スノーデン事件」では裏舞台での活動も暴露され、米国は情報安全を懸念する世界各国の非難を受けた。米国が先頭となって世界各国を経済困難から救い出すというシナリオも挫折した。国内外で不利な状況に直面した米国は、中国との関係を緩和し、中国を批判する論調を弱める必要に迫られた。

安倍首相は今月、訪米を予定している。TPP交渉やAIIB、日中関係などは重要なトピックとなるだろう。AIIB問題で苦境に立たされる日本は、TPPで米国との妥協をはかる可能性もあるし、TPP交渉国との関係を強調させるチャンスを探る可能性もある。米国はAIIBのメカニズムの問題について協力のシグナルを出しているものの、世界級の金融組織を長期にわたって掌握してきた米国と日本が、中国とパートナーが構築した別の機構をそのまま受け入れるとは考えにくい。そのため日米両国は、AIIBとの「競争的協力関係」の共同構築を話し合う可能性もある。

中国が参加しないTPPは成功したTPPとはならない。米国が協力しないAIIBも大きな成功を収めるのは難しい。AIIBの拡大と「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)建設の推進に伴い、米国が中国のTPP参加を拒むのはますます難しくなる。TPPの規則は将来、中国の参加のために調整される可能性がある。いくつかの分野(知的財産権など)での相違はなかなか埋めることはできず、参加国の均衡が中国の参加によって初めて取れるという要素もある。

TPPというこの巨大な弧は将来、「1ベルト、1ロード」とも結びつき、中国・米国・日本の3カ国の関係を平和的共存と利益共有という「繁栄の弧」へと変化させることになるだろう。AIIBは世界銀行やアジア開発銀行とともにこの「繁栄のベルト」に機能する。中国と米国にとっては、「トゥキディデスの罠」(新たに台頭した大国と既存の統治国との競争が戦争に発展する危険)を回避する重要なプラットフォームともなるし、そうすることは米中新型の大国関係の構築の意義でもある。

「天下の大事は小さいことから始めなければならない」。日米中3カ国の関係の「リバランス」は言葉だけで実現できるものではない。TPPや「1ベルト、1ロード」、AIIB、歴史問題で3カ国が全面的に協調・協力してこそ実現できるものだ。(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携