第10回大阪アジアン映画祭、グランプリ&観客賞に台湾青春喜劇「コードネームは孫中山」

Record China    2015年3月20日(金) 19時15分

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20日、アジア圏の映画を広く紹介する「第10回大阪アジアン映画祭」がこのほど閉幕し、コンペティション部門は「コードネームは孫中山」(台湾、イー・ツーイェン監督)がグランプリと観客賞の2冠を獲得した。

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2015年3月20日、アジア圏の映画を広く紹介する「第10回大阪アジアン映画祭」が15日に閉幕した。コンペティション部門は「コードネームは孫中山」(台湾、イー・ツーイェン[易智言]監督)がグランプリと観客賞の2冠を獲得。閉幕作品は韓国で昨年末に公開され大ヒットした「国際市場で逢いましょう」で、ユン・ジェギュン監督が舞台あいさつした。

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12作品で争われたコンペティション部門で、最も高い評価を受けた作品は「コードネームは孫中山」だった。パン・ホーチョン(彭浩翔)審査委員長は「シンプルなせりふ回しと細やかな表現方法で、若手俳優たちの自然な演技を存分に引き出した」と、監督の演出力に賛辞を送った。

アジア映画の未来を担う人材に贈られる「来るべき才能賞」は、「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」(タイ)のメート・タラートン監督。「セーラ」(香港)の主演女優、シャーリーン・チョイ(蔡卓妍)が「アイドル歌手から実力派女優への脱皮を果たした」としてスペシャル・メンションを受賞した。

「コードネームは孫中山」は、学級費が納められない貧しい高校生のグループが学校の倉庫にある孫文の銅像を持ち出し、スクラップ屋に売りさばこうとするストーリー。未来を変えていこうとする若者たちの青春映画で、貧富の差など台湾社会の一側面も垣間見せる。

易監督によると、孫文の銅像を登場させたことにはいくつかの意味がある。まず、台湾の紙幣に肖像画が描かれていることから、金を象徴する存在としての意味。さらに革命家・孫文のイメージを、少年たちが目覚めていく革命精神に重ね合わせたという。

易監督の長編映画はチェン・ボーリン陳柏霖)、グイ・ルンメイ(桂綸[金美])のデビュー作「藍色夏恋」(02)以来12年ぶり。「孫中山」主演のジャン・ファイユン(●懐雲、●=擔の右)、ウェイ・ハンディン(魏漢鼎)は監督が街角でスカウトした演技経験のない少年。彼らの等身大の演技も評価された。台湾では中華圏を代表する映画賞「金馬奨」と台北映画祭でそれぞれ脚本賞を受賞。反復と省略を効果的に取りれ、簡潔ながら奥行きを持たせた脚本が高く評価されている。

映画祭の最後を飾ったのは「国際市場で逢いましょう」(ユン・ジェギュン監督)。激動の現代史を家族のために生きた父親の物語で、韓国では昨年末に公開され、歴代2位の約1400万人を動員した。

ファン・ジョンミン演じる主人公は、朝鮮戦争で現在の北朝鮮から釜山に避難する中、父親と妹を見失ってしまう。母親や弟たちと釜山の国際市場に小さな店を出す伯母のもとに身を寄せた主人公は、自分の夢を封印して家族のためにがむしゃらに生きる。60年代にはドイツの炭鉱に出稼ぎに行き、70年代には民間業者の派遣スタッフとして戦地のベトナムで働く。ユン監督は縦軸に一人の男の人生を、横軸に韓国現代史のさまざまな出来事を置き、終始個人の視点で物語をつむいでいく。

映画には現代財閥創業者の鄭周永氏やデザイナーのアンドレ・キム氏など、韓国では伝説となっている人々も登場する。中でも東方神起ユンホが往年の人気歌手ナム・ジン役を演じたことは話題となった。

ユン監督は「TSUNAMI ツナミ」(09)の演出や「ダンシング・クィーン」(12)で知られる。「国際市場で逢いましょう」は10年ほど前から温めていた企画という。舞台あいさつでユン監督は「学生の頃に亡くなった父に捧げる映画。父は家族のために苦労したが、自分が父親になってその苦労が分かるようになった。日本も韓国も豊かになったが、その豊かさは天から降ってきたものではなく、父親世代の人々の涙と汗の上に成り立っている。きっと日本でも共感してもらえると思う。映画を見て家に帰ったら、両親や祖父母に電話でもかけて話してほしい」と観客にメッセージを送った。

「国際市場で逢いましょう」は5月16日、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国で順次公開。(編集/武藤)

<コンペティション部門 受賞作>

・グランプリ(最優秀作品賞)

「コードネームは孫中山」(台湾)イー・ツーイェン監督

・来るべき才能賞

「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」(タイ)メート・タラートン監督

・スペシャル・メンション

「セーラ」(香港)主演女優 シャーリーン・チョイ

・観客賞

「コードネームは孫中山」(台湾)イー・ツーイェン監督

(以下スポンサーアワード)

・ABC賞

「いつかまた」(中国)ハン・ハン(韓寒)監督

・薬師真珠賞

「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」(タイ)主演女優、プリーチャヤー・ポンタナーニコン

「国際市場で逢いましょう」(c)2014 CJ E&M Corporation,All Rights Reserved.

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