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「格差は拡大するばかり」日中両国政府に苦言=消費増税より累進課税強化を、中国は統計が不透明―ベストセラー『21世紀の資本』のピケティ氏

八牧浩行    2015年2月2日(月) 8時16分

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31日、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏は東京で記者会見し、行き過ぎた格差は経済成長に悪影響を及ぼすと指摘。制度や政策の見直しによる是正の重要性を訴えた。特に日本では格差が拡大しており、消費増税よりも、累進課税や相続税を強化すべきだとの考えを示した。

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2015年1月31日、著書『21世紀の資本』が世界的ベストセラーとなったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏は日本記者クラブで記者会見し、行き過ぎた格差は経済成長に悪影響を及ぼすと指摘。制度や政策の見直しによる是正の重要性を訴えた。特に日本では格差が拡大しており、消費増税よりも、累進課税や相続税を強化すべきだとの考えを示した。

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米国、欧州、日本、中国などで刊行された同書でピケティ氏は、統計を駆使して欧米の主要国の富の分布状況をほぼ200年にわたって分析。その結果、「資本主義社会では資本収益率が経済成長率を上回り、富や所得の格差が拡大する」と結論づけた。同氏の発言要旨は次の通り。

 

上位10%の富裕層が国民の全所得に占める割合は40〜50年間で急上昇し、現在、米国で50%、欧州が35%、日本でも40%にも達している。高成長を遂げている上げ潮の社会であれば、不平等の問題は生じない。しかし、現在のような低成長のもとでは、不平等が拡大する。不平等の度合いが高まると、一極に富や権力や発言力が集中し、民主主義が脅威にさらされやすくなる。経済全体の消費需要は停滞し経済成長は低迷する。

日本では低成長が続くなかで、過去に蓄積した富が不平等につながっている。格差是正策として累進課税は最も透明性が高く、民主的な制度だ。日本の財政再建や経済成長のためには、若い人たちに利する税制を導入すべきだ。(富裕層も低所得層も一律に課税し)万人を対象とする消費増税は、経済成長を阻害し、良い政策だとは思えない。高所得層に高税を課したり、富を持たない若者や中低所得層の所得税を引き下げたりする取り組みが優先課題だ。

◆透明性のある民主主義不可欠

労働所得や中・低所得の課税率を引き下げ、不動産などの富を持つ高所得者には課税率を引き上げるなどの措置が必要だ。若者や女性、パートタイマーや有期雇用者などに手厚い社会保障や税制を実施すれば出生率が上昇し、人口減少を食い止めることもできる。

不平等はグローバル化によってもたらされるものではない。グローバル化は不平等を生む原因の説明の一部でしかない。グローバル化は、新興諸国の成長を促し、世界にある貧困を救うことができる。ただ透明性のある民主主義の仕組みや制度がマーケットの巨大過ぎる力を抑えるために不可欠である。インフラ整備などによって開発途上国をもっと成長させる必要がある。例えば、(格差が拡大している)中国などは所得や富の配分に関する統計などが不透明なため腐敗がなくならない。不平等をなくすためには、各国が政策や制度を駆使して対応していくことが重要だ。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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