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Record China

 

医療大国・日本に慣れると、中国での生活がどんどん心配になる

大串 富史
配信日時:2017年7月17日 20時30分
  • 医療大国・日本に慣れると、中国での生活がどんどん心配になる

中国に長期留学や出張の際に一番困るのが、病気やケガの際の保険である。たまたま日本に半年ほど「滞在」する機会に恵まれ、住民票を新たに立てて家族全員の国民健康保険証を得て、地方自治体から定期健診の通知を受け取ったりするにつけ、この「医療大国」日本から中国に長期留学や出張をする少なからぬ皆さんのあちらの国での健康のことが心配になる。というよりも正直、半年後には中国に帰る自分と家族の健康のことがどんどんと心配になってくる。

一つの考え方は健康面等あちらで何かあったら日本に逃げ帰ってくればよろしいというものだが、家族全員の旅費や移動の際の諸々を考えると全然現実的でない。もう一つの考え方は中国で就業し中国の保険に入ってしまうというものであるが、その場合は仕事の掛け持ちがほぼ不可能なので今の仕事は辞めざるを得ない。

それで第三の選択肢である日本の海外旅行保険をなんとか中国で使えないかということになるのだが、正直どれも割高なように思えてあまり気乗りがしない。

というのも中国の医療費というのは大雑把に言って日本の3分の1程度、つまり全額払っても日本で言うところの「保険適用内」な費用で済むからだ。

たとえば日本に帰国する前に五十肩になりかけて「中医院」つまり中国医学に特化したそれなりな規模の病院に行ってそれなりなレベルの先生に鍼を打ってもらって完治した時にかかった費用は全部で100元、つまり日本円にして1500円程度だった。この程度の出費で済んでしまうため、月に何千円も保険料に費やす意味は全くないのである。

とはいえ、すでに3歳になる娘のことを思い、やはり親としてこの機会に何か方策を練るべきではなかろうか…とネットでいろいろ調べたところ、本人が入れば妻も子供も保険が下りるクレジットカード付帯の旅行保険を見つけてしまう。

「家族全員の旅行保険が年に何度も使えて年会費1080円(税込)は大変お得です」って、やった!これにしようこれ!と思って詳細をよくよく確認すると、「万一保険金をご請求いただく場合に、住民票などの書類を保険会社にご提出いただきます」とあった。いや住民票があるような短期の留学出張であれば、さっさと帰国して国民健康保険を日本でそのまま使うんですが…と、ひどくがっかりする。

中国に「長期」留学や出張の際に一番お得な保険とは、結局のところどれなのか。その方面に詳しそうな人をネットで探し当てたので、直接聞いてみた。

その人とは「ちょろ中(ちょろいもんだぜ中国生活)」の管理人であり、ネットで「のむてつ」の愛称でも知られる野村哲哉さん。中国・上海生活歴7年の中でついに見出したお得な海外保険とは一体。

●探しても探しても、長期でお得な海外旅行保険がなかなか見つかりません。

のむてつ:海外旅行保険の業界って、儲かっていないみたいなんです。つまり、加入者から取る保険料よりも、支払う保険金が多くなり、赤字になるケースが増えているようで。特に長期保険は、その傾向が強いようです。

●それで、すぐに見つけられるような格安の保険商材がほとんどない、と。

のむてつ:有料保険は、ここ10年で値上げも2、3回ありました。また、2、3回、保険金請求をしただけで、翌年、海外旅行保険の加入を断られた、というケースも増えています。

●では俗にいう「カード付帯保険」の状況はどうですか?

のむてつ:カード付帯保険は、加入を断られることはないですし、年会費の安いカードもあるのでオススメです。ただ、こちらも採算的にラクじゃないはず。利用者が増え、支払う保険金も増えているはずですから。基本的に、クレジットカードのオマケのサービスですから、カード会社が「採算があわない」と思えば廃止されてしまう「あやうい」サービスです。なので、付帯保険の利用だけではなく、カード支払いもしてあげて、カード会社にも利益をあげる。そうやって共存していくことも大切なのかな、と最近、思っています。

●つまり「中国に長期留学や出張の際に一番お得な保険はカード付帯保険だが、サービス存続のためカード会社の儲けも考えてあげましょう」というのが結論、と。

のむてつ:そのとおりです。もし格安で家族の海外旅行保険が手に入るカードなら、UCSカードがおすすめですよ。

なんだ、「住民票などの書類」が必要だという、あれか…と思ったら、なんと住民票がない場合は家族関係を証明できる他の書類でもOKだとカード会社に電話で確認済だとのこと。うーむ、これは確かに要チェックではある。

どうやら中国に長期留学や出張の際に一番お得な保険とは、やはり90日つまり3カ月だけ有効なカード付帯保険であって、これを大々的またおおっぴらにではなく節度をもってひっそり活用するのがよさげである。新たな保険商材が世に出ることを期待するよりは、今の保険サービスが打ち切られないうちに程よく活用する。そのような視点でよくよく探せば、カード付帯の格安保険で家族全員をカバーもまた可能らしい。

ところが中国人の妻にこの話を持ち掛けたところ、「年1080円だったら1年間有効の(中国の)農村の保険と同じ」と言われて驚愕してしまう。中国籍のある妻と子は、実のところ日本の保険は不要だったのだ。

であれば日本人である僕はこれまで通り、中国滞在90日以降に仮に医療費を全額支払ったところで「日本の医療の保険適用内の費用分を払っているだけなのだ」とひたすら自分に言い聞かせるのが、あるいはよさげなのか。

「医療大国」かつ「国民皆保険」な日本で日本人として生活して久しい僕たちが、もしかしたら「生命維持装置」のように見なしがちな保険を中国も含めアジア等海外で訴求するのは限度もある。「次の日のことを決して思い煩わないように」という金言からしても、自分の選んだ保険が(恐らく)一番、と「思い煩わない」でいられる人こそ幸いなのかもしれない。

■筆者プロフィール:大串富史
本業はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中国・北京に8年間滞在。中国人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留学を旨とする「長城中国語」にて中国語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中国・中国人・中国語学習・中国ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執筆中。

※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。

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