中国・レアアースと米国・半導体、決め手に欠け「貿易摩擦の遮断器に」と海外メディア

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中国のレアアースと米国の半導体。どちらの支配がより長く続くかが今後の米中関係の要因にと海外メディアが報じた。同時にいずれも決め手に欠け、貿易摩擦の「遮断器に」との見方を示した。

中国のレアアース(希土類)など重要鉱物に対する締め付けか、それとも米国主導の先端半導体の支配のどちらがより長く続くかが今後数年間の米中関係を形作る要因になる、とロイター通信が報じた。同時に両国とも決め手に欠け、貿易摩擦の「遮断器」として機能している、との見方を示した。

ロイター通信は世界の二大経済大国の関係について、「現在、不安定なこう着状態にある」と報道。両国は8月、互いの輸入品に3桁の関税をかけるのを回避するため、関税停止をさらに3カ月延長することで合意した。西側が中国のレアアース供給網に依存し、中国が米国と同盟国が支配する先端半導体を必要としているため、敵意は今のところ抑制されている。

その一方で米中両国は国家安全保障を理由に輸出規制や認可規則を行使して、互いのアクセスを制限している。半導体と重要鉱物はいずれも電子機器、自動車、人工知能(AI)、軍事システムにとって不可欠であることから、より幅広い分野で経済的に競争する上で駆け引きの主要な武器となっている。

トランプ米大統領が今年春、追加関税を課した際、両国は報復的な輸出規制を強化して要求水準を引き上げた。しかし、米国は5月、中国のレアアース供給継続を交換条件に半導体大手エヌビディアの「H20」半導体の輸出禁止を撤回した。7月の対米レアアース輸出は前月比660%急増し、エヌビディアは今や今後3カ月の売上高を最大50億ドル(約7400億円)と見込んでいる。

米国は自国のレアアース供給網を整備しようと取り組んでいる。レアアース自体は地殻に豊富に存在するが、採掘・分離・精製はコストが高く環境負荷が大きい。市場規模は小さく、2024年の世界の取引総額はわずか35億ドル程度で、世界の半導体市場の6000億ドル超に比べれば微々たる数字だ。

米国防総省は最近、ラスベガスに拠点を置き米国内でレアアース鉱山を唯一運営するMPマテリアルズに4億ドルを出資し最大株主となった。米国は中国のIT大手華為技術(ファーウェイ)やAI半導体大手の中科寒武紀科技(カンブリコン)が国産半導体の飛躍的進歩を実現するまでに、中国の重要鉱物に対する依存度合いを減らすが狙いとされる。

これに対し、中国は世界でレアアース分離・精製能力と磁石製造の約90%のシェアを占めている。オーストラリアやマレーシア、日本、欧州連合(EU)はとりわけ、精製能力や磁石製造を拡大しているが、中国は価格を低く維持して西側政府や企業の投資意欲を押さえ込める。

ロイター通信は「米中のどちらかが優位に立ったとしても他の分野で相手に対する依存が残る」と指摘。「半導体とレアアースと同じように、こうした分野の相互依存を断ち切るまでに数十年を要するだろう。少なくとも、こうした痛みの共有が貿易摩擦の遮断器として機能しているのだ」と言及した。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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